人形
「解散、解散ですよ」
アポロ様は言った。
「解、散ですか」
「ああ、紛れもない解散ですよ。ロケット団の歴史は今、終わる!」
どうしてか、やけくそのようにも取れるその口調は、すっきりしていた。それが酷く不愉快で、でもそれをアポロ様にぶつけることが俺にできる筈もない。この人は俺の世界だ。世界を壊す馬鹿はいないだろう?
「思えば、おまえには辛い役目を強いてしまいましたね」
「やめて、ください」
「おまえは言いましたね。自分は私の剣だと。存分に振るえと」
「言いました。それが俺の存在価値ですから」
「その剣を振るう日ももう来ないでしょう」
「アポロ様!」
「ただの人に、戻ってやり直してください」
やめてくれ。
そんな風にすっきりしたように笑わないでくれ。俺を“人”に戻さないでくれ!
叫びだしたいのに声が声帯に張り付いて声が出ない。なんでだなんでこうなった。あいつのせいか。あのガキの。
「さようなら。もう会うことはないでしょう」
行ってしまう。ああ、嗚呼!
俺の足は動かない。
あなたはそうやって去って行って、俺の知らないところで生きるのか? 俺以外の人に笑いかけたりするのか?
それを聞いて肯定されるのが怖くて声なんて出ない。振り払われるのが怖くて手だって取れない。
そうしてあなたは去って行く。振り返らない。そうでしょう、あなたは強いから。
傍らのサンダースが、一声鳴いたのを聞きながら、俺も泣いた。泣かずにはいられなかった。その日が俺が再び無意味な人形に戻った日だった。
【170403】
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