初めて彼を目にしたとき、おれは思いっきり引きつった顔をしただろう。いや、彼だけじゃない。ここで兵士として暮らす彼らを見たときもそうだ。
だけどこの彼だけは他とは違ったのだ。
さぞかし重いであろうそれを感じていないのか、感覚が麻痺しているのか、今にもぶっ倒れそうな彼の顔を見ておれは柄にもなく少し泣きそうになった。

「なんだ。言いたいことがあるなら言え」

そう言った彼におれはなんて言えばいいのか戸惑った。けれど彼を潰そうとのし掛かるそれを、おれが祓えるといったところで彼はそれを望むだろうか?

「あんた、すごいな。いろんな人に愛されてきたんだな」
「………そう見えるか?」
「うん。そう見える。それを呪いと呼ぶかどうかは別として」



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