「そんな雑魚にだってなぁ…値踏みする権利くらいはあるだろ!?」

フロックの言葉は正しいと思った。ぐぅの音も出ないくらいの正論だと思った。
みんなが内心思ってることを言ってのけた。心の中で拍手喝采だ。
だけど、彼は違った。


「いいねぇ!もっと言ってやりなよ!ボクそういうの大好きだよ!まるで的を得ているし誰もが思っていることを口にだした。言葉にした。ここにいる全員に言い聞かせるように言った。リヴァイが下した決断にケチはつけられないけど、心の中で溜まるモヤを今盛大に吐き出した彼…ええと、名前なんだっけ?まぁいいや。彼に拍手を送ろうじゃないか。凄いよ君。すごいすごいパチパチ〜!」
「なんだよアンタ!バカにしてんのかよ!?」
「え!なんでそうなるの!?ボク今君のこと褒めたのに…」
「褒められてる気がしねぇよ!!」
「ふ〜ん?ならそれは正解だ。あながち本物の馬鹿じゃないみたいだね」


彼の醸し出す雰囲気が、ガラリと変わった。
隣にいたジャンが「どっちの味方なんだよ…」と言った呟きを彼は逃さなかった。


「あははっ!面白いことを言う!ジャン!君はそんなに面白い冗談を言える人間だったのかい!?」
「あぁ?今の冗談に聞こえたかよ?」
「どっちの味方かって君は聞いたよね。結論、ボクはどちらの味方でもないよ。言うなれば敵。君たち人間の敵だよ。同じ時間を共に過ごして勘違いでも起こしたのかな?ボクが紹介されたとき、ボクがした話を忘れちゃったのかい?ボクは人間が大嫌いなんだ。人間を殺す人間で、それを仕事として生きてるんだよ?まぁボクの世界とここは違うけれど、どこにいったってやることは同じだと思わない?こんな絶望的な世界だから何?人類が巨人に脅かされてるからなんだっていうの?それはボクがボクの仕事を放棄する理由にはならなんだよ?」
「本当に狂ってるなお前…」
「今は君たちの側にいるけれど、それはまぁ個人的なことだからさ。だから、ついつい嫌いな人間を見ると殺したいって思うのはほら、しょうがないから許してよ」

にんまりと笑った彼はフロックを見た。

「君さ、誰かを値踏みするほど価値のある人間なの?値踏みしたあとどうするわけ?値踏みした相手に価値を感じられなかったらどうするの?それであいつはダメな奴だでハイ終了?次は自分が値踏みされる番だって知らないわけじゃないよね?」

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