「おや、またいらしてたんですか」
桃の収穫時期にはまだ早く、他の食材を篭に入れて持ち帰れば、久しく見ていなかった人が家主以上に家主の愛用する仮眠用ハンモックで眠っていた。
「すみませんッス弌さん。勝手に入ってしまって…」
わたしの言葉に反応したのは霊獣のスープーシャンだった。スープーシャンにくすりと笑って「構わないよ」と言い、ふかふかの髪を一撫でする。
「疲れてるようだから寝かせておこう。その間にわたしたちはこのとびきり美味しい桃を食べましょうか。去年のものだけれどわたしの技術で鮮度はもぎたてのままだからね」
「わーい!やったッス!」
「仙桃用に作った試作品だけどこれがなかなか美味しくできあがってね」
「わしも食う!!」
スープーシャンとキッチンにて桃を洗っていると今まで眠っていた彼が勢いよく体を起こした。
「残念。起きてしまったようですね」
「たわけ!最初から気付いておったくせに!」
「でも疲れているのは嘘じゃありませんよね?もう少しおやすみになられてもいいのですよ?」
「わしが桃好きと知っておるくせに。どうせ寝るなら食べてから寝る!」
「本当、桃が絡むと人が変わるお方ですね」
面目ないッス、と何故かスープーシャンが項垂れる。
しかし太公望さん、わたしの桃は様々なところに出荷しています。わざわざここへ来なくても食べれますよ?
現地で食うのはまた別物だ
そうですか。たまには桃以外の目的で来てくれても罰はあたらないと思いますがね。
!。なんだ。お主気付いておらぬのか?
?、何をです?
………いや、何でもない。
最近のあなたが傷を癒すためにここへ来ていることは知っていますが…
そっ!…いや、まぁ、確かにお主の顔を見てお主と話して、お主の作った桃を食って、また前を向こうという気持ちの整理はつけておったが…、わしがここへ来るのはそれだけではない
そうでしたか
そうでしたかって、えらくあっさりだのう
掘り下げてもよろしかったので?
………まぁ、まだよいか
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