午前四時の異邦人




忘備録
2025/11/12(22:33)

シュナイゼル連載/29話

シュナイゼル連載29話
いつも読んでいただきありがとうございます。一部も完全に後半です。

カノンがちょっと前に言ってた白鳥の喩え話が効いてくる回ですね。
優雅に見えてその下では……、この場合カノンの指摘の方が正しい形になっています。
シュナイゼルの絶体絶命感半端ないな……と思いつつ、後半にはまだ彼の絶望と苦労は続くのでこれからです。
彼に絶望という感情はあるのだろうか。

ヒロイン誕生日のお披露目の手前の独白は、ガチ勢感ありましたね。
しかし実際のところ国家君主という身分と役割は調べれば調べるほど、生き続ける限り自由はないです。
だから多少のスキャンダルも大目に見られるだろうし(なぜか本人より身内の親兄弟がやらかす件が多いが)、安全と贅沢も許されます。
君主制は現実世界でも20世紀前後で多くが廃れ共和制に移行しています。
権力を手放し、どこの王室も規模縮小し、象徴的でその国の外交、表の政治の粗相の尻拭いをする事ができる母親のような役割を担っています。
ギアスの世界ではまだ移行するには早すぎますね。作品の世界観は19世紀頃の温度感であるし、ヒロインの出身の架空国家は生き急いだ結果、破滅を迎えようとしている。
国王であるヒロインの父の地の文で描きましたが、彼が取るべき選択肢はそれしかありませんでした。王権を維持しながら、地政学的独立を維持し、規模を縮小しつつ民主的な移行を推進していった結果、子供に恵まれるタイミングを犠牲にしてしまった。
苦肉の策として娘の研究を利用し、非常事態に備えたつもりがより悲劇を生み出してしまった。
そのしわ寄せを全部食らうシュナイゼルの話です。原作のシュナイゼルは苦労をあまりしていないから(彼にしては退屈な日常茶飯事なので/ノベル版参照)暗中模索状態の状況はスリリングなんじゃないでしょうか。

ヒロインの叔父の弟の方の当たりがきついのはそういうキャラというか、個々の人格や思惑がありますから、誰も彼もが優しい人間ではないし、客観性の描写です。
頭の中の映像はアニメというより、実写映像で動いているので台詞回しも実写とその吹き替えっぽくなっています。
ギアスは明らかにシェイクスピア要素をふんだんに取り入れているので、台詞の原点もストーリーも舞台・演劇に帰結すると思います。彼らは演劇の国、英国人なので、英国ドラマや映画っぽい雰囲気が出ていたらいいな。

イタリアは愛、フランスは理、ドイツは厳密性、概念と模索。
そして英国作品の特徴は虚構といわれれています。
ギアスも虚構がテーマです。あるいは嘘、演技的。ただのアニメじゃないんですよ。しっかり表現されていますね。
(※英国は俳優や映画・ドラマ・作家の社会的地位が士業よりも高い国です。日本とは情熱の傾け方も予算も桁違いです)

ということで、次回の次回あたり、シェイクスピア劇の話を予定しています。
英国人なら学校でシェイクスピアくらいはやるだろう!!!と思っています。彼らにとっては基礎教養ですから。引用で引用は当たり前。シェイクスピアは今の英語を確立した祖先にあたりますし、英国・英語が存在するということ、エリザベス1世がいる段階で確実なのですが。

余談の余談。
シュナイゼル連載において英国国教会の扱いがどうなっているのか、最近ずっと考えてました。
エリザベス三世までは維持していたけど、死後その愛人が皇帝になり国号を改めた際、宗教の扱いをやめたかしないとシャルル皇帝ように一夫多妻で何人も妃を抱えるなんてことは許されないと思うので、英国国教会は廃れたんだろうなぁ…。キリスト教は原則一夫一妻制です。
架空の王国カストラリアは西ローマ系譜なので厳格なカトリックだと思いますが、国教になった経緯が逃げてきた人々の宗教を取り入れたからで、対西側の意識もあったのではないか……と思います。地域的には仏教色も濃いはずなのですが、逃げてくる人々のルーツと定着と社会階層ゆえに上流階層と下の階層では宗教が実は異なるかもしれない。国教は専制君主制の名残りですね。

ヒロインはその一夫一妻制原則にもかかわらず、婚姻条約署名の時、愛妾を許す条件を加えているので、たぶんその後、おじさんたちからこっぴどく叱られているはずです。公開署名会見時にルールを変更するのは異例設定ですが、カストラリアが様々な人々を受け入れてきた背景を考慮すると閉鎖的で秘密主義ではない方法をとっているので、それがその国の合理性である解釈ができるかなと。(合理性って200種類あるんですよ。小論・批評の書き方ひとつでさえ、お国柄があるので、合理性は実は妥当性でしかありません)
ヒロインの思考としては、宗教トップが姫様でない内に最初から悪くない≠ニしておくことでスキャンダル予防策を打っておいたつもりでしょうが、そういう価値観も保守派から好ましく思われていないのだろうと思います。
ヒロインは常に清廉潔白。正義側で、悪人ではないというスタンスで書いていないので彼女も後先考えず自分の合理性を信じて、それはどうなんだ?ということをします。


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