04


「強制参加だからな。」

「………はい?」



私はなぜ、こんなことになっているのか。

男女問わず、大人数で囲むテーブル。
そこに並べられているのは多くのアルコールと、たまにかわいらしいカクテルとソフトドリンク。

私は、こういうものが苦手だった。
なのになぜここに居るのか、と言うと冒頭で言われた通り赤井さんから強制的に参加を言い渡されたから。

今日のこの集まりは、私を含む新人の歓迎会らしい。
こんなくだらない会に参加する気など微塵もなかったのだが、まるで職権乱用とでも言わんばかりの空気を醸し出す赤井さんに負けてしまったのだ。



「如月さん、ちょっとお酒飲み過ぎなんじゃないんですか…?」

「大丈夫。この程度では酔わないわ。」



ひとりで居るととても面倒なことになった(他の部の男たちが寄ってたかって集まってきた)ので、周りに居るのは私に慣れている部下たちのみ。
部下3人に囲まれてブランデーのロックを飲んでいると、ふと視線が対角線上に座っている赤井さんに向かう。

赤井さんを囲っているのは、見たこともないような女性捜査官。
強制参加だ、と言ったわりに赤井さんは私と特に関わっても来ないし。
もっと言えば見せびらかしたいのか、とも思わされてすこし腹がたつ。

そんなことを思いつつ、空いたグラスを部下に渡して同じものを頼んでもらう。
いつもよりペースが早いからなのか、すこしだけ身体が熱くなってきた。
酔ったのか、と言われると、別に酔っているわけではないなと思う。



「如月。」



すぐに運ばれてきたブランデーに手を伸ばすと、それが誰かによって奪われる。
気配や衣服に染み付いたたばこの匂いでなんとなくは察していたが、一応確認してみるとそれはやはり赤井さんだった。

視線だけで「返しなさい」と訴えてみたところで、赤井さんは総スルー。
私のブランデーを遠くに下げたあと、私の腕を掴んで立ち上がらされた。



「飲み過ぎだ。すこし酔いを覚ませ。」



酔ってませんよ、と反論する前に腕を引かれ、赤井さんの手によってずるずるとその空間から引きずり出される。
部下には「すこし預かる」と断って出て行ったのだが、周りから突き刺さる視線は気持ちのよいものではない。

けれど、多少の酔いは確かにあった。
だからなのだろう。
私の腕を掴む赤井さんの手を見ながら、大人しく赤井さんに従っていた。

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