06


ついに、日本へと乗り込むことが決定した。
まずは赤井くんとジェイムズ、それから数人の部下で組織の動きを様子見する。
それから動きが決まったあと、資格を習得させた人物たちの配置が決まるのだ。

まだ様子見の段階である今回は、赤井くんが言っていた頃合いよりも少し早い。
今はアメリカを中心に手を出していると思っていたけれど、少しずつ日本にも手が広がっていることに気付いたのだ。
いつ本拠地が日本になる、と確信があるわけでもない今は、アメリカに人員優先として残す他上には術がなかった。



「任せたわよ、ジョディ。」

「ええ…。」



そこにはもちろん、ジョディの名もある。
元よりジョディは幼い頃の出来事が原因で組織に対し、強い執着を抱いていた。
そうなると当然彼ら組織を追い込みたいだろうし、関わりたいと思う。

だから私の部下の中でリーダーを任せ、間接的に私が指示を出して彼女が指揮を取る、という形にさせたのだ。
まあ納得出来ないメンツも居るだろうけど、反発する気があるのなら抜けろと言っているのだから従わないことはないはず。

「任せたわよ」と言うと、ジョディは少し困ったように笑ってみせた。



「それより、シュウは知ってるの?まいかがあとから来るってこと…。」

「もちろん知ってるわよ。」



ジョディの心配事は、どうやら赤井くんのこと、らしい。
確かにこの件について、赤井くんとも話しだけはキチンとしている。

赤井くんからは「おまえも日本に来い」と言われたけど、それは断った。
同じ狙撃手の私が居たところで、もし拠点をアメリカに戻したときに困るからだ。

私が日本に向かうのは、まだ先。
本拠地が日本だと判明したとは言え、今もアメリカで組織が手を出していることもある。
そうすると本拠地を移された場合、迅速な対応が出来ないと困るので、つまりは保険として私はアメリカに残るのだ。
恐らく彼ら組織は、本拠地を変えたりはしないのだろうけど…。

取り敢えず赤井くんとのやり取りを掻い摘んで説明すると、ジョディも納得していた。
まあ、私があとから遅れてみんなと合流することに赤井くんの許可を得ること自体、おかしな話しではあるのだけれど。



「ジョディ。お土産、よろしくね。」

「もうっ。あたしたちは仕事なんだから!あなたもそんな冗談言うのね。」

「あら?私だって、冗談くらい言うわよ。」



前よりも近付いた距離のおかげで、こう言った軽口も叩き合うことが出来ている。
前ならこんなこと思わないしこんなことは言わないけど、これも全部、赤井くんのおかげ…なのかしら。
悔しいから、認めたくはないけど。

クスクスと笑っているジョディを見ると、安心して背中を押せる気がした。
あまり危険な部分に自分の部下だけを放り込みたくはないけど、狙撃手であり指令をボス以外で部下に出しているふたりがアメリカに今、まとめて留まることは賢くないから。
そしてそれは、逆も然りなこと。

だから、ジョディ。
私と合流するまで無事にがんばってね。

ALICE+