世の中しんどい
ああ、しんどい。
世の中って恐ろしいくらいに理不尽と不条理で回っている。
少なくとも私の人生はそうだ。
「…今日から配属されました、如月まいかです。よろしくお願いします…。」
警察官になり、その後も目標を達成するために警察大学校で勉強して今。
とうとうこんな出来損ないの私でも、目標である公安へと所属することが出来た。
これは夢でも見ているのだろうか。
管理官に挨拶をし、他の上層部にも挨拶回りをしたあと、警備企画課にて今の挨拶をすれば、どこか緊張したような空気で私に向かって一気に視線が集まって来た。
なんだよこれ、しんどい。
私が何したって言うんだよ。
やっぱりなんの取り柄もない、こんな地味で目立たない根暗そうな奴じゃ公安なんか務まらないと思われてるんだろうな。
それは当たり前のことだけどそんなに視線集めなくても良いじゃん、私だってそういう正義に憧れを向けることだって…。
「如月まいかか。俺はおまえの上司になる降谷零だ。」
「え…あ、はい…。」
やっぱり世の中糞食らえな世間だ、と思っていると上司になると言う人間から、降谷零だと自己紹介される。
この人の噂はかねがね、警察大学校時代から風の噂で耳にしていた。
情報が漏れることは許されない組織。
そこが、ここ。
そしてそんな組織である公安の情報が、偶然教員たちから口にされて耳にした。
その教員たちは早くクビになれば良い。
話しが脱線したので戻すと確か、大きな組織との対立に最前線で出ていたんだとか。
他国の警察組織、ここの警視庁の警察たちをも巻き込む、それはほぼ国内ではあれど戦争に近い状態だったらしい。
そんなすごい人の部下になるなんて、ラッキーなんだかアンラッキーなんだか…。
警察大学校に通っていた頃の話しなので、私からしてみたら他人事でしかないのだけど、この人はその他人事でしかなかった事件に大きく関わっていたなんて。
すごいなあ。
その争いの中で死ねたのなら、さぞかし幸せだったんだろうなあ。
早く死にたいなあ…。
「早速だが、連絡のあった現場に今から向かう。おまえもついて来い。」
「あ、はい…。」
他の人が訊けば「やばい」とか「病院行って来な」と言い出すだろう内容を頭の中で考えていると、目の前の上司はくるりと背を向け、今から連絡のあった現場に向かうのだと言ってきた。
そこでふと正気に戻り、歩き出した上司の背中をどこか遠巻きに追い掛ける。
あの背中には、どれだけの重圧が乗っていたんだろう。
私には想像出来ないししたくないし、そんな事態になれば望む形ではないけれど首吊って死にたくなるだろうな。
そんなのウザいし辛いし狂うだけ。
ああ、本当。
世の中しんどい。