永遠を教えて
お昼ごはんをたべて、少しゆっくりと今度はトウカシティにつながる道路を歩いていく。
依綱は今度は擬人化ではなくて、もとのロコンの姿だ。もともと依綱は、あまり擬人化が得意でないほうのポケモンであるらしい。擬人化しても、ミミと、シッポが一本ついてきてしまっているから、そうなのであるとされている。でも、依綱のお母さんとお父さんはそうでもなくて、これについてもお父さんはいつもとても楽しそうに何かを言っていた。お父さんの言うことは難しいことがどうにも多くて、わたしにはよくわからないことばかりだった。
お昼ごはんを食べて少したった昼下がり、あたりはぽかぽかとあたたかい春の陽気に包まれていて、歩いているというのに少し眠くなってくる。草むらの中……は危ないから、このままどこかの芝の上かなにかに思いきり寝転んでみたい。そして、そのままころころと転がってみたり。
想像するだけでもわくわくしてくるほど、楽しそうだ。
「いいなぁ、」
ふと、今の思いつきにたいしてためいきがこぼれる。あまりに魅力的な思いつきだったから、それに対する感嘆のようないい意味でのため息だ。
ぼおっと白い雲の少しかかった、薄い水色の空を見上げながらつぶやいてみる。そうするだけで自分がいる場所がこういう普通の道路ではなくて、もっともっと魅力的な、たとえば緑や、やさしい野生のポケモンあふれる草原とか、一面のお花畑とか。そういうところにわたしがいるような気すらしてくる。
うん、いい。本当に、それは最高だった。いつか本物に、行ってみたい。本物の、わたしの今思い描いたような素晴らしい場所へ。
綺麗な景色を、見たい。わたしたちだけの、特別な、一等綺麗な景色をみたい。
つよく、つよくそう思った。
「いい、かな」
そうして、口に出してなぞってみると、思っていたよりもはっきりと輪郭をもってくる。いいなぁ。きっと、いい。
「ねぇ、依綱」
足元にいる依綱に話しかける。ちょこん、とわたしを見上げてくる依綱はやっぱりすごく可愛いなぁ、なんて思った。ふわりとゆれる六本の尻尾がとびきり、可愛いから。
「見つけたの。わたしの旅の、目的」
『え?』
「だから……、見つけたんだ」
少しかがんで依綱を抱き上げて、思いきり抱きしめてから、こんどはぐっと、目を合わせる。綺麗なすんだ目がきらきらと輝いて見えた。
ああ、いいなぁ。依綱がすごくすごく、とびきり大切なんだって気持ちが心の奥から止まることなく湧いてきて、それがなんだか幸せだなんて感じる。
「あのね、綺麗な景色を見つけたいの」
『きれいな、けしき……?』
「そう。わたしと、依綱と、これから増えるかもしれない大事な仲間たちだけの、とびきり綺麗で大切な景色。大きなお花畑かもしれないし、あおいあおい海かもしれないし、もしかしたらもっと、想像もつかないようかところかもしれない。でも、だからこそ見つけたいの」
真剣に言って、そうしたらなんだかその真剣さが気恥ずかしくもあって。
『良いと、思う。……俺も、見てみたいな』
依綱がそう言ってくれたら、もっともっと嬉しく思えてきて。
わたしはどうしようもないくらい幸せで仕方がないんだなぁって、思った。