葉雪舞



壮大に広がる海を進んでいくと空気が急に冷えてきて俺の小さな体はブルリと震えた。
一気に冷え込んできて、俺の口から吐き出される息が白い靄となって空気に溶け消えた。

真冬並に寒くなってきたので俺はテレポートで船内にいるエースの元に移動すると、外に目を向けていたエースが俺に気付いて抱き上げてくれた。


「急に寒くなってきたなー」

「(息が白くなるくらいだった)」

「近くに冬島でもあんのかもしんねえな!」

「(冬島……チョッパーのいたドラムしか思いつかねえや)」


船内とはいえ、寒さを感じるが炎人間のエースは薄着で見てるコッチが寒くなってくる。
しかしこうして抱きかかえられているとエースの体はポカポカしてて暖かい。

エースで暖を取っていると外を見ていたエースがお?と声を挙げたので俺も外に目を向けると空からチラホラと雪が降ってきた。


「おお!シス、雪だぜ!!」

「(マジかー…雪が降るくらい冷えてきてんのかよ……)」


雪を見てテンションを上げるエースと、げんなりする俺。
寒がりでもあるので正直、雪とか勘弁…。

俺は雪が降って庭駆けまわる犬よりもこたつで丸くなる猫派なのだ。


「あ、そっかシスは雪、初めて見るんだよな」

「(え?いや、見たことあるけど??)」


いきなりそう言ったエースは上着を着てマフラーを首に巻くと俺を抱っこしたまま甲板に出ようとした。


「おや、エースさん。外に行くのですか?」

「ああ、シスが初めて見る雪を一緒に楽しもうと思ってよ!!」

「お嬢さんも?」


そう言って先生はエースに抱っこされた俺を見るとあまり良い顔をしなかった。
あれ?先生のことだからこれも勉強ですね。とか言うと思ったんだけど?

俺がそう思いながら首を傾げると先生は持っていた赤い布?のようなものを俺の頭から被せてきた。

さっきまで先生が持っていたからか微かに暖かいし、なんか上品?な香水の匂いもする。着せられたそれはフワフワと柔らかい生地を使っていてフードには白いファーが付けられている。

改めて自分の格好を窓ガラスで確認するとサンタをイメージしたようなポンチョが俺を包んでいて、前で止められるように鈴の形をしたボタンがあって先生はそれを止めてくれた。


「今日はクリスマスですので、私からお嬢さんにプレゼントです。外に出るのは構いませんが風邪をひかないように気を付けてくださいね」


そう言って俺の頭を撫でてから先生は俺にフードを被せてくれた。そのやり取りを見ていたエースは内心デュース小さなサンタとなったシスの可愛さに悶えながらも甲板に出た。

甲板に出ると完全防寒と言ってもいい格好をしているデュースが寒そうにしながら立っていた。


「うぅ〜……さみぃ…」

「よっ!デュース!!」

「ん?……エース、お前それだけで寒くねえのかよ……」


東の海-イーストブルー-でも温厚な気候の島出身のデュースにはキツく感じるようで、薄着のエースを見るなりマスクで隠された表情を露骨に歪めた。


「このくらい平気だぜ?デュースの方こそ着込みすぎじゃね?」

「アホ、これくらい着込んでねえと風邪ひくっての!」


そう言いながらデュースはジト目でエースを見てから俺に目を向けるとキョトンとしてから笑顔を浮かべた。


「随分と可愛い格好してるな?センセーからか?」

「(ああ、結構暖かいんだぜ!)」


自慢げにドヤ顔しながら答えるとデュースはコートのポケットを漁ると銀紙に包まれた丸いお菓子をくれた。


「俺からのプレゼントは他にあるが、今はこれだけやっとく」

「(ありがとな!)」


デュースからお菓子を受け取った俺は早速銀紙を剥がしてみる。
中からでてきたのは木の実を砕いてチョコで固めたお菓子だった。見たところ手作りのように見えるが……え?まさかデュースが作ったとか?


「……んだよ、俺が作ったもんは食えないとでも言いたそうだな?」

「(滅相もございません!!!)」


なんだか取り上げられそうな気配を察知した俺はお菓子を口の中に入れてコロコロと転がしながら味わう。
っっっっ!!!!チョコの甘さと木の実の酸味がマッチしててすっごく美味しい〜〜!!!

俺がチョコを堪能している間、見ていたエースとデュースは胸が暖かくなった気がしたとか。


*****


外でエースと雪で遊んでると先生がご飯だって呼びに来たので俺達は一目散に食堂に駆け込んだ。それを見送った先生が苦笑しながらドアを閉めているのが気配で分かったのでいつもありがとう!と言っておいた。(伝わらなくても言うのって大事!)

食堂に入ると、そこは色々と飾りつけされたお洒落な食堂になっていた。
天井には折り紙でよく作るよう輪っかのレースみたいなもんが貼られ、テーブルの上には豪華な料理が沢山並べられていた。


「お、楽しかったか?」

「(応!久しぶりに雪合戦した!!)」


雪合戦って言ってもサイコキネシス使って雪玉作って連射してただけなんだけどな!
おかげで炎になったエースに全部溶かされたぜ(笑)

なんて思っているとデュースがおしぼりを持って俺の前にしゃがみ込むと顔を拭いてくれた。あ、温かくて気持ちいい……。

まるでお風呂入ってるみてぇ…なんて思いながらデュースに任せていると被ってたフードを下ろされた。


「部屋ん中では下ろしとこうな」

「(へーい)」


そう返事をしてから俺はデュースに抱っこしてもらってテーブルの上に乗せてもらった。
行儀悪いとは思うけど、今の俺はラルトスで椅子に座っても手が届かねえんだよ…。早く進化したい。

なんて考えは横に置いといて……今は、目の前のごちそうをエースに完食される前に食べることなんだ!!

そう意気込みながら俺は料理を食べ始めた。


*****


宴も闌(たけなわ)になってきた頃、デュースが俺に向かって可愛らしくラッピングされた袋を差し出しながら言った。


「シス、メリークリスマス」

「(あ、そういえば今日ってクリスマスなんだっけ)」


ヤベェ、俺なんにも用意してない……。
そう言えば甲板に出る前に先生からプレゼントって言われてこのポンチョ貰ったんだった。

俺はデュースにありがとうって言いながら受け取ると早速開けてみた。

中から出てきたのは可愛らしい、女の子が喜びそうなぬいぐるみだった。
大きさは俺と同じくらいなのでちょっとびっくりした。


「シスも女子なんだし、そういうのに興味持った方がいいと思ってな」


だ・か・ら!俺は男だっての!!
もう何度目か分からない返事をしながら目の前のキュルーンと効果音が聞こえてきそうなぬいぐるみを見てみる。

確かに可愛いとは思うけど、俺男だしなぁ。
いや、デュースの気遣いも嬉しいし……まぁ、いっか!

考えることを放棄した俺は貰ったぬいぐるみをギュッと抱きしめた。
うん、めっちゃ柔らかい。
今日からコレを抱き枕にして寝る!

なんて思ってると頭の上にポスリと帽子が乗せられた。
サイコキネシスでそれを浮かせて目の前に置けばエースが被ってるのと似たデザインの帽子だった。


「俺からはそれをやるよ!これで俺とお揃いだな!!」

「(エースとお揃い……すっげぇ嬉しい!ありがとう!!)」


俺はサイコキネシスで帽子を頭に乗せるとエースに抱き着いた。
しかし、俺だけ貰って皆には何もない…とか俺のプライドが許さん。

何がいいだろうか?
うむむ、と腕を組んで考えると俺は自分の使える技を確認し、これとコレを使えばもしかして?と思い、頷くと俺はニッコーと笑顔を浮かべてテレポートを使って皆を甲板に連れて来た。


「うわ寒っ!?」
「なんでいきなり甲板!?」
「おいシス!!」


おおう、デュースからの説教が来る前にしんぴのまもりを使ってクルー達を包み込む。
一応不思議な力で守られる技だし、寒くはない……と思う。

なんて思いながら俺はハラハラと降っている雪を見てからミストフィールドを使い、い甲板全部を不思議な空間にしてしまう。
淡いピンクと地面から立ち上る霧と空から降ってくる雪がファンシーな雰囲気を出している。
後ろで皆が驚いてるがまだまだ序盤なんだぜ?

俺はふふん、と得意げになりながらマジカルリーフとこごえるかぜを使った。
冷たい風に葉っぱは氷漬けになり落ちてきそうになるが俺はそれをサイコキネシスで宙に止め、かみなりパンチを使って一つ一つ砕いて行く。その間もサイコキネシスは解かない。

そしてすべて砕き終わってから俺は雪と砕いた氷を宙で舞わせながらチャームボイスを使ってクリスマスソングを歌った。

いつも世話になってるからそのお礼も込めてのクリスマスソング。
俺の頭上では氷と雪でかたどったトナカイが引くソリに乗ったサンタとか大きな鐘にデフォルメ化したツリー等々、色んな形に変えていくとエース達からおおっ、と声が上がるのが嬉しく俺は歌いながらクルクルと回りながら踊っても見た。

エース達との旅はまだまだ続く。
今日みたいに特別な日にはみんなで馬鹿みたいに騒いで踊って歌って楽しむのもいいもんだな。

そう思いながら俺は、自分を拾って海に連れ出してくれたエースとデュースに向かってとびっきりの笑顔を向けた。


201812262120

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2018.メリークリスマス!!
航海初めてのクリスマスを楽しむスペード海賊団でお送りしました。
本当はサーナイトに進化したシスに踊らせたかったけど、本編に合わせてみました。わざとかの効果は実際のものとは違うだろうけど、そこはご都合主義ってことで(笑)