「しゃぼん玉?」
「気にすんな。ところでそれ、どんな映画なんだ?」
「青い魚が子どもの頃に別れた家族を探して、大切な存在を見つけるお話です。」
「ネイチャー系か。」
「どちらかと言うとアニメ…ですね。」
「アニメ!?随分と考えさせられるアニメだな…。」
「今度持ってきます。一緒に見ましょうね。」
「ああ。…って、戻る気かよ!」
「もちろんですよ。」
私達はずっと一緒にはいられない。
元の生きる世界が違う。
おとぎ話のような結末は、今の私達にない。
それは、仕方のないことだ。
「…どうすんだ?また会えなくなったら。偶然は二度も起こらねェんだぞ。」
それでも、
「必ず会えますよ。次も、その次も。」
会い続ける方法はある。
「何を根拠に…。」
「二度目があった私達の出逢いは、もう偶然じゃありませんから。」
偶然を必然にするための約束をしよう。
2人を繋ぐ約束は、不確かな物すら形にできる。
あとは、お互いを想う気持ちさえあれば充分。
「ところで土方さんが戻った世界はどうなってたんですか?」
「俺のところは……」
これからは私達の手で奇跡を作ればいい。
割れないように、消えないように。
優しくそっと、誰にも壊されないように。
この先も、虹の先にいる恋人と逢うために。
そしていつか…
二人一緒に、虹のふもとで暮らせる日のために。
本編END
2019.04.25
*にいどめせつな*