キャラメル味のキスで
title by 確かに恋だった



 私の最近のお気に入りは、翔くんからお土産に貰った夕張メロンキャラメル。北海道のコンサートの際に買ってきてくれたもので、札幌限定らしい。
 大好きな夕張メロンの味が見事に再現されていて、さっぱりした甘さと香りが口の中に広がる。コロコロ転がすとさらに風味が増し、幸せな気分になれる。一つ口にした時から気に入って、それからは少しでも長く食べられるよう、毎日一個と決めて食べている。

「何かいい匂いする。」

 もはや日課となったキャラメルタイム。夕食後の至福の時間に、その事件は起きた。噛むのがもったいなくて、口の中で遊ばせていたキャラメルが、隣の翔くんまで香ったらしい。

「これ、お土産に貰った夕張メロンキャラメル。すっごく美味しいの。」

 感謝の思いを込めて伝えると、少し目を細めて笑ってくれた。この笑顔、心を許したって感じがして胸がきゅんとなるんだ。

「そんなに喜んでくれると俺も嬉しい。」

 頬に翔くんの大きな手が添えられる。至近距離で落とされた微笑みに顔が熱くなった。

「俺にも味見させて。」

 その言葉が耳に届くのと、唇に温もりが重なるのと、どちらが早かっただろう。
 初めはリズミカルに落とされた口づけが、少しずつ深くなって。薄めを開けた私の目に飛び込むのは、眉間に少し皺が寄った切なそうな顔。それが求められているようで体の中心が疼いた。

「あい、もっと……。」

 一度音を立てて離れた唇を寂しいと思う間もなく、頭の後ろに手が回され、唇がこじ開けられる。口の中で転がるキャラメルを捕まえるように、翔くんの舌が動き回る。余すところなく嘗め回され、酸欠みたいに喘ぐ。キャラメル味のキスで、彼に翻弄された。

「……あめっ。」

 気付いた時には私の口にあったはずのキャラメルは無くなり、目の前の彼の口がもぐもぐと動いている。

「あー、そのキャラメル最後の一つだったのに!!」

 私の声に驚いた様子もなく、舌に乗せたキャラメルを見せびらかす。

「返そうか?」

 意地悪そうな言葉を呟いた貴方の唇に、噛みつくようなキスをした。

「また買ってきてあげるから。」

 口づけを解くと、頭をぽんぽんと撫でられた。その顔がとても愛おしそうに私を見るから、今日は許してあげる。

「そんなに美味しかった?」
「本当に美味しかった! 今度は3箱くらい買ってきて。」

「3箱も?」
「うん。でも、他の味も試してみたいかも。」

「他の味かぁ。どんなのがあったかなぁ。トウモロコシとか?」
「大阪なら、たこ焼き味とかないかな。」

「ぶはっ。甘いたこ焼きってパンチあるなぁ。」
「ベビーカステラと思えばいいんじゃない? 屋台とかでよくあるじゃん。」

「じゃあ、ロケ行く度、ご当地キャラメル探してくるよ。」
「美味しいヤツにしてね。食べきれなかったら嫌だし。」

 そう伝えると、腰がグイッと引き寄せられた。

「その時は、また俺が食べてあげるから。さっきみたいに。」

 瞳を合わせたまま囁かれる。妖しく見下ろす瞳に誘われて、私は目を閉じた。
 唇が合わさる刹那、甘い香りが鼻をくすぐる。それはキャラメルの匂いだったのか、翔くんから放たれるものだったのか。次々と降ってくる口づけに踊らされる私には、確認する術が無かった。


「キャラメルみたいにドロドロに溶かしてやるよ。」


 Yシャツのボタンを外しながら彼がそう言った時には、随分溶けてしまっていたのだけれど。

 貴方になら。そうされるのも悪くない。キャラメル味のキスで、私は貴方に溺れる。

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