多行御題
※多行ってなあに⇒「一行」に対してのそれです
入れ替え× 抜粋OK
要するにただの散文詩なので短く使用する場合はお好きな部分をどうぞ ひとつの作品として捉えていただく必要はないので行の組み換えはご自由に 単語の入れ替え・改変等は原則ご遠慮ください
※request⇒2014年にしたフリーリクエスト企画分 あんまり見つけられなかった ごめんなさい
request:切なかったり甘かったり/さよならをしよう
かなしみを測る尺度をいつだって求めていたよ
わたしという絶対値なんてなんの価値もない
それでもちゃんと呼吸して二足歩行できるんだ
だからちゃんと、褒めてほしい
ゆうやみをなぞる指先が今日は足らない
ひとつ、ふたつ、ふちどるさようなら
そう長くないまつげには淡い自己主張を添えて
世界が飲み込まれる頃、二人で歩いていたい
もう閉ざしてしまおう
ため息も涙も特別なものではないので
わたしというおんなのこに価値などないのです
それでもすべてあなたを想ってのこと
見てみぬふりしていいよ
手を振るための適切な角度をわたしは知らないのだ
淋しさの尺度を溶かしこんだなぞの液体
どうぞ飲み干して(どこにもいないきみよ、)
title:一行お題より
傘の開く音が聞こえて
君が泣いていることに気づく
どうせ明日は晴れるだろうと
私はひとりまぶたを閉じた
ざあざあとひかれたカーテンに
夕方の終わりは飲み込まれたまま
君が笑うのは幸福に因るものなのか
私はひとりさめざめと泣いた
遠ざかる足音に静けさを忘れる
個体二つが呼吸をしている
耳につく生命の証明
私が知りたいのはそれじゃない
くらやみに灯るただひとつ
爪先の密やかな微熱
その幸福は何に因るものなのか
この背は嘘を吐き続ける
どうせ君も同じだろう
さめざめと降る雨を違う窓から見ていた
request:転生/和風/お盆/切ない
ひとつめの心に積もった花びらを
あなたのつま先に降らそうか
通い路の隅で出会った文月のまぼろしが
遠くの雷鳴を思いだす前に
口づけたのは光のカーテン
ふたつめのさよならを隠した午後
憐れむ為に星を渡る誰かが言った
「まるで恋みたいね」、そう言って、笑った
あとどれくらい死んでいようか
二人にも一つにもなれやしないのだ
みっつめの角を曲がったならもう
あなたのつま先が蹴る花もないだろう
そうして転がり続けるのだろう
request:敵同士のロミジュリ/孤独な少年を助ける話/吊り橋理論
結ばれる前の柔さをきみは覚えているだろうか
うすい膜の中でばかり呼吸を繰り返して
初めて掴んだ腕の熱を、伝わる速さを
きみは覚えているだろうか
絡まり合った二本は互いの色を否定する
誰も彼も一つになんてなれはしない
号泣するための手順なら踏んだだろう
こごえるからだを僕だけが知っている
その滴に何かを変える力などない
絆されも満たされもしない
それでいいのだと笑ってきみは
脚も躰も投げ出して泣いた
知っていたって知らないのと同じだ
request:何気ない日常/どことなく甘くて柔らかい
いつかママの好きなひとが言った言葉によると
どうやらあのひとは私を愛しているらしい
三角関係だねと笑って、私はママの頬にキスをした
宇宙の暗さが嘘みたいな世界ね!
「行ってきますまた会う日まで。」
窓辺で揺れるシフォンはすみれをくすぐるのが一等好きみたい
空の青さを証明するために旅立たなくちゃ
そのためにまず、めのまえのパンケーキにナイフを突き立てるの
バターのとろける気配がしたならそれは世界征服の合図だ
「さアてまずはどこに行こうか。」
はちみつの流れる音と星の流れる音は似ていると気づいた朝
切り取られたいとおしさは風に乗って私の髪を揺らす
細かく刻まれたフルーツをひとつひとつ確かめるように世界は征服されようとしている
添えられたクリームはおんなのこの心をくすぐる天才ね
「ああもう行かなくちゃ。」
橙がみずいろに帰る頃
宇宙のまぶしさの裏側ではお日さまが目を閉じている
今日はこのへんにしといてあげようかな
それじゃあまた明日
旅立ちの日から一光年
穴だらけの本は風を待つ
とうに干からびた水槽は
あなたの帰りを待っている
さよならさよならお別れだ
剣山に毒を塗っておこう
可哀想な人はもういない
あなたは海から出てこない
懇願がすべり落ちた階段に
ひとつずつ名前をつけていく
舌の上で溶けた生命は
あなたに還ってゆくと笑う
そこ行く誰かはかなしいか
やさしい振りして泣いてくれ
あなたはそうして生きていく
溢れた涙で満ちていく
帰りが遅いと泣いている
誰かのシーツが濡れている
あなたはあなたであるようだ
私は私であるようだ
さよならさよならお別れだ
愛にも毒にもなりやしない
私は本当に可哀相
あなたを愛せず泣いている
明けない夢はないんだね
あのこと私のキス事情
やさしい毒に冒されて
恋に恋して恋になる手前
覚めない夜はないんだね
あのこと私のキス事情
ひどいかなしいあなたは甘い
収穫できない熟れすぎ御免
ちゅうぶらりんな私の天使
雄弁なのは言葉より匂い
甘いあなたはシチューの中で
溶かし溶かされ愛をする手前
そういうの、ぜんぶ欲しいの
ため息ごと飲んで話をしよう
キスのあとなら笑って許せる
そういう嘘も、たまにはいいね
おねがい三分間だけ
私はあなたの恋人
この夜に生きる間だけ
わるいこでいよう私たち
ねえ泣きたいときに泣くだけ泣いて
残っているのは痛みだなんて
深刻な事情に回路がやられて
あなたに夢中、心臓があまい
恋に恋して恋になる手前
やさしい毒に冒された
ちゅうぶらりんな私の天使
ひどいかなしいあなたは甘い
request:切ない/どこか病んだ感じ
失くしものが何なのかすらわからぬまま
ほどけた熱帯魚がまた一匹沈んだ
それでも僕は変わらず靴を履き
世界を見ようと目を凝らす
ああこの淋しさはきっとキミにはわかるまい!
腹這いのフリルは赤い目でこちらを睨む
それでも僕は変わらずペンを取り
世界を見ようと目を閉じた
墜落したあの星は今頃どうしていることだろう
ブラウン管の向こうではすすり泣く声
僕は一昨日買ったパンを焼いて
ついにひとつだけ思い出す
もうずっと、誰かの声を探している
あなたが語ることをやめたその時
ひとみの灼熱が私に語りかけた
あなたが語ることをやめたその理由を
ぬるい掌が私に伝えてきた
泣かないよ
空が二つに割れるのだから
あなたは私でいられない
夕日がどちらに沈むかなんて
もう少しだけ迷っていよう
泣かないで
ほんの少し湿気を含んだ世界の隅で
あなたの名前をなぞっているよ
砂を一握飲みこんでどうぞ
そのまま帰ってこないでね
傘に縋る花びらのその形
どうにも震える鼓膜はないな
ひと粒ふた粒残しておくれ
ぼくはもうすぐそこへゆく
止まぬ雨にふやけた心臓よ
たぶんここには酸素がないのだ
それがきっと証明になろう
きっときみには会えないだろう
そこに横たわるがいい
つめたい膜の内側からのぞく
白くてさみしい誰かの肖像
そのまま帰ってこないのだろう
止まぬ花にふやけた世界の形
横たわる心臓よ
ぼくはもうすぐそこへゆく
きっときみには会えないだろう
恋をする、という現象
とても非科学的
=科学的でないということ
ひとみに惹かれる
たった一度だけ交わった、
視線。セックス後の余韻のような。
みえないひとみはだれかを見ていて
そのひとみにぼくは、星をみる
ロマンスがはびこらない夜
とても科学的に
夕立ちに花が、首を、
もたげたのを横目に、
ぼくという現象
起こって、間、終わって
きみには何ももたらさないまま
あの人の目から何か零れても
きみは何も知らないまま
まぼろしですらない
何を以て、恋などと
何も知らないくせに
答a、それでも、
深夜すぎるとチョコレートが食べたくなるのだ、あたし女の子
ふわふわした白さにはなんだかくらくらしちゃう
誰とゆうやみに溶けたって同じさ、眩さには慣れない
朝になると夜が恋しくなるのだ、夢見がち
くらくら泣いてるコスモスはいつだって得意げに上目使い
どこを歩いたって同じさ、きみの眩さに慣れない
甘いのがいいんだ、あたし女の子
深夜すぎるときみに会いたくなるのかなあ
ふわふわな脳内を勝手に侵略しちゃだめ、だめ
くらくらしちゃう
誰とゆうやみに溶けたって同じさ、何にもなれない
あたしはあたし?
甘すぎるのもたぶんいや、わがままかなあ
ねえきみの隣をあたしにくれるなら
あたしの隣は誰だってかまわないのに
いつもの交差点で指先をからめる
一瞬だけまぶしいから、物語を閉ざした
「吹き荒れる風とキスをする」
あなたとの恋はそんなふう
いつかその冷たい酸素に体内は満ちて
私は幸せになれるんだって
綺麗なのは照らされたその間
鈍色のニュアンスに中毒
あなたとの愛はそんなふう
「もうすぐで黄昏はこの手を振りほどく」
暗闇はあなたと、私を溶かしはしない
さよならだねって笑ってよ
喚いたり縋ったり、するだけ惨めになると知っていた
すてきなことをすてきだとゆえたら世界は微笑を覚えたんだよ
レモネードの力は偉大ね!
さよならの仕方も何もかもわたしに教えてくれる
乱雑に息するそれらはそっと引き出しにしまっておこう、
冷蔵庫のミルクたちも安心するはずだから
ルージュはいつかみた景色をわたしに忘れさせてくれないラベンダー・カラー
初恋は実らないまま正しく収穫を迎えるもの
涙なんて似合わない、だってだれよりも幸せな色をしていた
ノックしたって決して開くことのないその扉
、今ちゃんと鍵をかけるから、そこで見ていて
ロマンチストの言い訳なんてもう沢山
いつか捨てた気になっていたもの
ねえいらなかったわけじゃあないんだ
ただもう認めたくなかった
それだけなの
やさしくてやさしくて仕方がなかった
こわくてこわくて仕方がなかった
あのひとはそれでも愛していると笑ったけれど
わたしはそれさえもこわくて仕方がなかった
嘘はついちゃいけない、いけないんだ
だってあれは近い将来わたしを捨てて
遠い過去で泣いてばかりいるの
ビッグバンにも負けない大きな咆哮
かなしい導きを受け望んだはずの形を今、否定する
帰っておいで、不器用なlady
相変わらず日々を濡らし続けるわたしだけれど
やさしく笑うあのひとを愛しく思うから、大丈夫
拾いにゆくからそこで待っていて
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