memo
ここは戯言と創作関連のつぶやき置き場。
重要だったり、とくに重要じゃ無かったりする雑多場だよ。
ここのつぶやきは、ぜーんぶ管理人である蜜柑猫の物。
勝手に持って行かないように。
▽2019/09/19(Thu)
▽無辺の無音
──手を差し伸べたのは
誰
?
……僕は限りなく不必要な存在だった。
実家に居場所はなく、あるのは兄と両親が談笑する空間だけ。
その場所に、目の前に存在していても、彼らにとって僕は存在しない物だった。
いくら歩み寄っても拒絶される。
無視される、たまに構われたと思えば怒鳴られる。
「兄は簡単に出来たのにお前はどうしてできないのか」
「これができないお前はうちの子じゃない」
そう言われ続けた。
どうしても認めてもらいたくて、たくさん努力をした。
迷惑を掛けないように、不必要なときは「音」を消して、自分の存在も消した。
自分は居ない存在だと、そう言い聞かせて、部屋の隅にうずくまった。
自分の音も、他の音も消した無音の世界。
……結局僕は、そこに、家に存在したくなかった。
生きていることが迷惑になるのなら、僕は居なくなりたかった。
そして彼らは、ある日雪山に僕を捨てた。
彼らにとって、自分との対話は無駄なのだと知った。
音を消してもいないのに、何も聞こえない世界。
無辺の無音。
……ああ、僕はここで朽ちるのか。
それもいいな、やっと、誰かに迷惑を掛けなくて済む。
そう思って、辺りにあった樹に凭れ掛かった。
僕は眠ることにした。
きっと、そのうち死ねるだろう。
……三日ほど過ぎたころ。
雪山に黒い服を着た男の人がやってきた。
始めは死神かと思ったけれど、その顔には見覚えがあった。
昔写真で見たことがある、今の国の
皇帝陛下
。
どうしてこの人がここにいるのか、要領を得なかったけれど、三日も眠っていた僕の頭はもう、その時にはうまく働かなかった。
自分を唯一救ってくれたのは、自分に唯一手を差し伸べてくださったのは、
陛下
だけだった。
★
もくく
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