はじまりは空から


ふわり、ふわりと宙を漂うような感覚に、覚めることのなくなった意識が再び浮上する



目を開けるとそこは青

周りは白い物が漂っていて、まるで空を飛んでいるような感じで…




「…ん?」



周りを見渡し、下を見る

下を見ると緑の大地が広がるが、問題はその“下”が足元から遥か下にあった
つまり、自分は本当に…


「飛んで…?!うわっ」


自覚をするとガクンと落下する
ええっ、ちょっ、どうすれば




ぐんぐん地上へと近づき、地面に衝突するまであと数秒


あ、よく見ると真下山じゃん。岩肌じゃん

え、ちょ、コレしぬ…



咄嗟に目を瞑る

少しでも怖くないように…





(でも、できれば痛くありませんよーに…)


そう念じると、ぶわりと強い風が起きた気がした


















風が、いつになく強く吹いた気がした



それも自然に起こったものではなく、聖隷が故意に起こしたような…


それは幼い妹も感じたようで、俺と同じある一点を見ていた



「…お兄ちゃん」


「…少し、様子を見てくる。お前はここに居ろ」


妹には近づかないように言い付けて、様子を見に行く


風はあれから強いものは吹いておらず、いつも通りといった感じである



「気のせい…だったのか?いや、だが…」


少し考え、首を振る
もしかしたら風属性の聖隷が通っただけなのかもしれない


妹のところに戻るかと立ち去ろうとするとまた、強い風が巻き起こった




ぶわり





風の中から一人の少年が現れて、地に伏せた

気を失っている…のか?





普段なら気にしないのだが、ただの、そう。ただの気まぐれだ




自分より小さな体を肩に担ぐ



「…軽いな」



妹と同じくらいか、はたまたまだ生まれたばかりなのか分からないこの聖隷を連れて、今度こそ妹のもとへと足を進めた

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