ループもの
依存エンドの果てに一週間をループし続ける話も書きたい。最初は記憶の引き継ぎも朧気で、思い出したときにはなんとかして助けたいと思うのに絶対助からないし、そんなこと望まれてもいないっていう……。
兄妹もの〜のついでに思い出しプレイしてた腐……姫がやっぱりめちゃくちゃ性癖だったので……そういう暗い話……。ループものだからいくらでも心中できるね……(クズ)
あ、心中ネタは好きですけどキャラが死ぬのは普通に嫌なので(身勝手)今のアニメは辛すぎます。
さておき。追記からそんな設定の一場面。とある一週間のサンジョルジョの船着き場。主人公視点。フーゴ。
『そのこと』に気づいた時、私は最初、『祝福』だと思った。神様から与えられた奇跡。きっと私のスタンドが成長したんだ。だから時間が『巻き戻った』。私はやり直すことができるのだ。今度こそは誰も死なせずにボスを倒してみせる。
──そう、思っていた。
「でも違うの。私は、私にはなんの力もない。見ていることしかできない。みんな、私の掌から零れ落ちていく……」
私は笑いながら傍らに立つ少年を見上げた。彼は──私と同じく船着き場に残る選択をしたフーゴは──目を見開いていた。呆然。信じられないって表情。
それもそうよね、だって現実味がないもの。私のスタンドの能力は彼だってよく知っている。だから受け入れられないのも無理ない。私だって未だに夢を見ているんじゃないかと思う。
とてつもない悪夢。繰り返される日々。永遠ほどの苦痛が果たしてこの世に存在するだろうか?あぁ、それならばいっそのことここが地獄と言われた方がよほどいい。これより先の苦しみはないのだと。いや、むしろここが地獄なのだろうか?現実を受け入れられなかった罰。罪人の行き着く先。……罪人は、私だ。
「じゃああなたがここに残ったのは……」
「そう、あなたの想像通り。きっとこんなことをしたって無駄なんでしょうけどね」
「幻滅した?」と訊ねてみる。あくまでも気安く、笑いながら。そうして引き攣る心は私がまだ正常な証。正気の淵にしがみついている。まぁ、落ちてしまえた方が楽なのかもしれないけれど。
私は肯定を受け止めるつもりだった。或いは戸惑い、躊躇いを。
けれど優しい彼は「いいえ、」と首を振った。いいえ、「でも、」と。
「少し、がっかりしました。ぼくはあなたがぼくのために残ってくれたんじゃないかって思ったから」
彼はうっすらとした笑みを浮かべた。痛々しい笑い方だった。でもたぶん彼には私の方こそそう映っているのだろう。だから彼はわかりやすく傷口を見せてくれたのだ。先刻開いたばかりの傷。まだ瑞々しい鮮血を滲ます心を。
──ただ私を慰めるためだけに。
「……そうできたらよかったのに」
なのに私は自分のことばかり。この選択の果てに何が待ち受けているのか。いつもと同じ空白か。それともまだ見ぬ未来か。そんなことばかりを考えている。
後者を願う心は真実。けれど諦めが大きく占めているのもまた確かなことだった。きっと何をしたって変わらない。彼らは命を落とし、時間は再び巻き戻る。満足して逝った彼らを、私の勝手に付き合わせて。もう懲り懲りだと叫ぶ私を無視して。また、私は──
「……試してみますか?」
「え?」
思考に沈んでいた意識。引き揚げたのはフーゴのなんてことないって響き。彼は夕食を考えるような気軽さで私に提案をする。
「だから、試してみますか?この選択を『ぼくのため』ってことにして……」
そうしたら何か変わるかも、と彼は口角を上げた。きりきりと音がしそうな笑い方だった。引き攣れから血が滲んでいた。そして差し出された手は──震えていた。
それが緊張のためかはたまた先刻の余韻かは知らない。知ってどうすることもない。私たちにはどの道行く宛などないのだから。
「……いいの?せっかくの猶予を私なんかに付き合って」
「いいですよ、だってあなたの話を信じるならどうせあと数日でこの世界は終わるんでしょ?」
彼は終末論をどうでもいいって風に横に置いた。そんなのは些末なこと。彼にとっての世界は既に終焉を迎えたのだ。たぶん、きっと。それを私はこの時『はじめて』理解した。……こんなことがなければきっと、何も知らないままだった。
「……別に、本当に終わっちゃうわけじゃないのに」
私は差し出された手を取った。触れた瞬間、びくりとたじろぐ膚。フーゴは唇を引き結び、それから「終わりですよ、少なくともぼくにとっては」と溜め息を吐くように言った。
「だって次の『ぼく』は今を覚えていない。記憶が連続してないなら、その『ぼく』が『ぼく』である証なんてどこにもないでしょう?」
彼の目は何より雄弁に語っていた。寂しさだとか悲しみだとか、そういう当たり前の感情が奔流のように私の中に伝わってきた。彼は泣いていて、けれど同時にとても温かなものが奥底には横たわっていた。
それは間違いなく歓喜で、私は彼が私を愛してくれているのだということを諒解した。それもはじめて知ることだった。そして私はそのことを悲しく思った。知らなければよかった。だって、次の『彼』は今ここにいる『彼』ではないのだから。
「覚えててよ、忘れないで、思い出して」
「無茶言わないでください」
彼は私を抱き締めた。私は縋るようにして彼の背に手を回した。私ははじめて彼の温もりを知った。そしてそれはきっとあと数日で失われるのだろう。確実な予感に私は泣いた。
知らなければよかった。未練など今さら必要なかった。私はまた選択を誤った。私は……そう、心から悔やんでいた。
だというのに手を離すことができなかった。それは私の弱さで、彼の優しさだった。
カテゴリ:ネタ
2019/06/09 00:36
2019/06/09 00:36
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