チェンソーマン
めちゃくちゃ眠たいので文章おかしいかもしれないですけど今週のジャンプ本誌の感想です。
これまでと同じ設定の夢主で、アキくんとパワーちゃんとの会話がメインの小話。ネームレスです。
呼び鈴を鳴らすと、嫌そうな顔のアキくんが現れた。
「今から北海道、行くんですけど」
「別に邪魔しにきたわけじゃないよ」
失礼なアキくんだ。人を面倒ごとみたいな目で見て。「いや、実際面倒なんで」でも私はアキくんの顔が好きなので悪態をつかれても許してしまう。限りある命を燃やす人は、美しい。
「で、なんの用ですか」
「あはは、そんな警戒しないでよ。ただちょっと、タクシーの真似事でもしようかと」
「はぁ……」
これは『なに言ってんだコイツ』って顔だ。クールを気取ってるけど、アキくんは結構わかりやすい。
私は笑って、「それじゃつらいでしょ」とアキくんの左腕に目をやる。闇の悪魔に奪われた、左腕。おかげで今のアキくんは結構危うげな風である。肉体的にも、……精神的にも。
「車、下に置いてあるから。駅まで乗せてくよ」
「それ、あんたにメリットあるんです?」
「あるでしょ。例えばアキくんに貸しを作るとか」
「帰ってください」
「冗談だって」
アキくんはたぶん本気だ。本気で私に、回れ右を命じた。打てば響くような反応。その速さには気持ちのいいものがある。
……この口が動かなくなったら、すごく寂しいだろうな。
「私は見送りがしたかっただけだよ。今生の別れになるかもしれないし」
「大袈裟ですね。向こうにいるのは二日だけですよ」
「まぁ、そうだね」
でもその二日の間に私は死んでしまうかもしれないし。
……なんていう冗談は、ちょっと質が悪いかな。さすがの私でも、その程度の躊躇いはある。多少の分別はつくようになったのだ。だから今は頷くだけに留めておいた。
私は「冗談だよ」とアキくんの肩を叩いた。ほんの数ヶ月前までは無事だったアキくんの左腕。その日が来たら、きっと泣いてしまうだろうな。私はぼんやりと思う。優しい人から死んでいくのがこの世界なら、せめて私にだけは優しくしないでほしい。
なのにアキくんは。
「……助かります」
アキくんはそう言って、僅かに口角を持ち上げた。
そうすると一気に親しみやすさが生まれて、冷たさは名残となってしまう。これが本来のアキくんなのだろうか。なんだか鼻の奥が熱くなる。最近、どうも涙もろくなってしまったらしい。年を取るとはこういうことだろうか。
「なぁにしてんのォ?」
「ワシが通れないんじゃが?」
アキくんと玄関口で話し込んでいると、その肩の向こうからひょっこり覗く顔がふたつ。
「デンジくんにパワ子ちゃん。元気してた?」
「おぉ〜……まぁそこそこ?」
「そこそこじゃのお……血があればもっと元気になるんじゃが」
「ほんとに落ち着いたんだね、よかった」
私はホッとして、パワーちゃんの頭を撫でる。
でもそうすると彼女の長い前髪が乱れ、目許を覆った。それだけでパワーちゃんは「闇の悪魔じゃあ……」と涙目になるから、まだまだ全快にはほど遠いのだと知らされる。
「ごめんね、パワーちゃん。ほら、前髪とめようね」
「ううう……闇の悪魔がワシを見ておる…………」
「本当にごめんね。あの、アキくん、ちょっといいかな」
「ああ」
アキくんに断りを入れて、私は早川家に上がり込む。出発前に面倒をかけてしまって申し訳ない。パワーちゃんにもアキくんにも、デンジくんにも。
私はパワーちゃんを姿見の前に立たせ、手早く前髪を纏めた。ヘアピン、持っててよかった。
「パワーちゃん、どうかな?闇の悪魔、いなくなったんじゃない?」
「ううん……?そうか……?」
「それにほら、これならパワーちゃんの可愛い顔がよく見える」
私はパワーちゃんの頬に手をやり、鏡に向かい合わせた。その中に映り込む、私たち。パワーちゃんの目には、どう映っているだろう?
実際、パワーちゃんは可愛らしい顔立ちをしている。普段の言動のせいですっかり隠れてしまっているのが勿体ないくらいに。
そしてパワーちゃんは、そんな自分が大好きだ。
「そうか……、ワシ、可愛いか……」
「うん、普段も可愛いけど今のも愛らしくていいと思うよ」
「そうか……そうだな……当然じゃな…………」
そのうちパワーちゃんは納得したのか。闇の悪魔の存在は横に置いて、姿見の中の自分をためつすがめつ眺めた。色々とポーズを取るその姿は、ファッションモデルさながらだ。そんな反応もまた子供のようで可愛らしい。これでもう少し品があったらなぁ。私はパワーちゃんの後ろ姿を見つめて思う。でもそんなパワーちゃんだからこそ、今の早川家があるのだろう。
「……いいなぁ」
思わず呟くと、パワーちゃんは得意気に笑う。「そうだろう」と。
「さすがに顔は変わってやれんからのう……」
羨んだのは容姿のことではないのだけど。
しかしは所詮、ないものねだり。私はマキマさんの微笑みを思い浮かべる。
何があっても、どんなことが起きても。私が最後に選ぶのは、きっとマキマさんなのだろう。
カテゴリ:ネタ
2020/06/09 00:50
2020/06/09 00:50
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