夜道を一人歩きながら、私は先ほど寄ったコンビニの袋を漁る。取り出したのはお酒だった。
「人生終わりだーーー!!」
ストロング系缶チューハイのプルタブを勢いよく開け、グイッと一気に呷る。強いアルコールの匂いが鼻に抜けた。日頃からそんなにお酒を飲まない私には慣れない刺激だった。もしかしたら酔い潰れるかもなぁ。足踏み外して転落死とか、事故死とか、あり得なくもないなぁと思いつつ、今やそんなことどうでもいいやともう一口。
文字通り、私の人生は今日終わったのだ。
両親は一人娘の私に借金を押しつけて蒸発、家に帰ったら家具も服も全部押し寄せた闇金に差し押さえられており、挙句に高校卒業後から勤めていた会社からの解雇通知。その足で携帯も解約。持ってるものは出勤用の鞄と今着ているオフィスカジュアルな服のみ。完全に人生終了。お先真っ暗とはまさにこのこと。
なけなしのお金で最後の晩餐だと買ったこともないこのお酒を買って、路頭に迷いながら歩き飲酒。ああ、もう最悪だ。
「酔って潰れて、目を覚ましたら夢でした、とかないかなぁ」
ないよなぁ、と一人ボケツッコミをしながら知らない道を歩く。大通りから外れて住宅街。昼から何も考えずに歩き回っているから、ここがどこかもわからない。このまま路上で生きていくのかなぁ。それしかいないよなあ。いや、そもそも生きていけるのか?どうやったら生きていけるんだ…。
良くも悪くも世の中は金だ。こうなったら身売りでもするか?いやいや、もう二十代後半の女なんてしょうもないだけだろ…。さして可愛くもないのにやっていけるとは思えない。うん、やっぱりこれは。
「おわりだーー!」
人生の終了としか言えない。
ぐびぐびとお酒を飲む。イッキイッキ!と一人虚しく脳内コールしながら缶を空にすると、案の定視界がぐにゃりと歪む。しまった、もっと強いお酒にして急性アルコール中毒的なアレで死んでしまえばよかった。間違えたなぁ〜と思いながら、もう立っておられずどこかの誰かの家の塀にもたれかかりながら地面に座り込む。これ朝起きたらこの家の人驚くんだろうな…。あーあ、朝なんてこなければいいのに。明日なんて一生こなければ……。そうこうしているうちに1秒また1秒とすぎてるなんて……。
「じんせぇ…くそくらえだなぁ……」
見上げた空は見事な曇り空で、死ぬまでに一度満点の星空なるものを見たかったな……と思いながら死ねもしないのにまぶたを下ろした。
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