「半分こしようか」
一個しかない饅頭、二枚入りの焼き菓子、赤く塾れたりんご。何に関しても半分ずつ分け合おうとするのが、この人の癖だった。この半分には何の意味があるのか。刀である小夜にはよくわからなかった。
「はい、小夜くん。柿が一個余ったから、後で食べて」
顕現されて三年が過ぎた頃、小夜は半分この甘さを、美味しさを共有しあう嬉しさを、胸に宿る暖かさを知った。修行に行って、もしかしたら自分は人間に近い存在になってしまったのかもしれない。現に、背が伸びた刀がいるくらいだ。きっと自分たちは人の姿に長くいすぎたのだ。
けれど、それも存外悪くない。
小夜はもらった柿に目を落とすと、腰にある短刀に手を伸ばして、止めた。不思議そうに首を傾げている主の服の裾を掴み、台所まで引っ張る。
台所の棚から包丁を取り出し、甘く塾れた柿を半分に切る。
「主・・・・・・はい、これ」
初めて渡した「半分こ」に、主は目を丸くした後、野に咲く花の咲くように顔を綻ばせた。
小夜の胸には人の体温のようなあたたかさが、緩やかに広がった。