「煙管で吸うとまた違う感じだね」
「そう……? また吸いたいときは言ってね」
作戦室の机に向かい合って座るマスターが、吸い口にふっくらとした唇を当てながら頷いた。もっちりとした柔いそれが触れるたび、身を震わすほどの刺激がキセルの神経を支配する。
マスターに煙管を吸わせるたびに、体が彼女の唇に反応してしまう。この癖がどうしても抜けない。普段はどう扱っても己の体と共鳴し合うことなどないのに。
丸い目を縁どる睫毛の数をかぞえられるほどに、じっとマスターの表情を観察する。俯きながら資料を読むマスターは無遠慮に突き刺さる視線に気づくことなく、熱いスープをすするように煙を口内に招いている。そうされるといつもなんともいえない甘露な痺れが脳髄を突き抜けていく。彼女の呼吸さえ生々しく伝わってきて、キセルはこれ以上ないほど堪らなくなる。
今度は弾力のある舌が吸い口を悪戯に突いた。背中を擽られているようなその愛撫がキセルはとても好きだった。
ああ、今度はあの唇の奥にある白い歯で甘く噛んでそのキセルに傷痕を残してはくれないだろうか。