onabe


「え、今からですか?」
「うん、ごめん。…やっぱ難しいよね」
「…大丈夫です、ちょっと時間くれれば」

帰りを待っていたところ連絡がきたと思えば、突然の御来客の話。
確かに想定外だが、大切な人の友人を無下にもできない。
少しの時間をくれれば恐らく何とかなる問題だ。

「了解、じゃああと1時間ぐらいで帰るから」
「はい」

とりあえず近くのスーパーに買い出しだ。


「こんばんはー」
「突然すんませんね」
「おー流石きちんと掃除されてる」
「稼いでますなぁ」

1時間とちょっとの間を経て、玄関口から聞こえてきたたくさんの話声。

「あ、百合さん!相変わらずお綺麗ですね!」
「おいおい早速口説くなよ」

「こんばんは。えっと…スリッパどうぞお使いください」

一応お客様用のスリッパを並べて置いた。
リビングへと案内する。

「お、鍋っすか、いいねぇ」
「はい。今日は特に冷えてますから」

皆が鍋を囲って食事を勧めている間、百合は台所で次の野菜や肉を準備していった。

「にしてもいいよねぇ、美人で料理上手くて優しい彼女さん」
「何、改まって」
「帰国子女で大学出て歌美味いんだから他譲って、ってこと」
「イヤだよ意味わかんないし」
「サイトーさん人生出木杉くんですか」
「一目惚れ率70%で熱しやすく冷めやすいは嘘だね」
「ね、寧ろずっと熱してる」
「鍋みたいに?」
「上手い!」
「はいはい、オレ酒もってくるから」
「逃げるのかサイトー」

酔い始めてる友人たちを置いて、彼女のいる台所に向かった。

「缶まだある?」
「あ、私もってきます」
「いいよ、いいよ。これぐらいやらせて。
ていうか本当今日はゴメンね、急に。あいつ等もっと強く断ればよかったんだけど」
「いえ、お友達は大事にした方がいいですし」
「友達っていうか、殆どバンド仲間だけどね」
「でもよかった。鈴木さんが、斎藤さんはあまり友達がいないって仰ってたから」
「そんなにいないわけではないから、てかアイツは何を吹き込んでんだ。
百合ちゃん、あんま真に受けなくていいからね」
「はい」
「あと、あいつ等にもあんま今日は近づかないように。結構酔うと面倒だから」
「そうなんですか?」
「うん、ダメ。セクハラされちゃうよ。百合ちゃんはオレのなんだから気を付けないと」
「……斎藤さんも酔ってますか?」

「サイトゥーン、お酒ー」

「あ、呼んでますよ」
「あぁ、…まぁいいよ、今は」
「…?」



「サイトゥーン遅くない?」
「……楽しんでるんだよ、邪魔しないであげよう」
「オレたち優しいねぇ」

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