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mobside.

俺がクラブ「FUNK JUNGLE」に行くようになって数日、その日もいつものように仲間たちと音楽とダンスを楽しむ。
暫く踊って休憩がてらバーでドリンクを頼み、注文したものを待っていると、ふとカウンターの端へ目をやると彼女がいた。

その空間だけ世界が違うかのような錯覚さえ覚えた。
珍しいシルバーブロンドが光に当たると輝いて、伏せた瞳に影を差すほど長い睫毛、穢れを知らなさそうな白い肌、
まさに息を呑むほど美しい女性が目についたのだ。
クラブの騒音などとは無縁のように、静かにそこに佇んでいる。

「……おい、おいってば」
「え、あ、わり」

友人の言葉さえ耳から通り抜けるほど、自分は彼女に魅入ってしまっていたらしい。

「何見てんだよ」
「いや、あそこ、すげぇ女いるんだよ」

そちらへ指さすと、友人もつられて女性の方へ目をやる。
彼女は俺が見たときからずっと何か本を読んでいるようで、その目はずっと伏せられたままだ。
クラブにきてまで読書をしている姿も中々異質だが。

「あー、あの女はやめとけ」
「なんで?…もしかして、セイラみたいにヤバイやつ?」

このクラブを創ったMIGHY WARRIORSのメンバーには、唯一の女性メンバーでありながら高い戦闘能力を持つものがいる。
セイラという女も確かに美人だが、彼女の力を知らずに絡んだ奴らは必ず酒に潰れるかKOされるかのどちらかだ。
もしかして彼女もその類の人間なのか。

「違う違う、前にさ、あの女に絡んだ奴がICEにボッコボコにされてんの見たんだよ。
だからICEの女じゃないかってことで、誰も近づかねーんの、お前も下手に見てるとやられるぞ?」

それを聞いて慌てて彼女から目を離す。
ICEという言葉が出てしまっては友人の言葉に従うしかない。
MIGHTY WARRIORSリーダーのICEという男は、ファイトクラブでは自身よりはるかに巨体の男を殴り飛ばす一撃必殺のパワーを誇る、いわば敵に回してはいけない男だ。
ICEほどの男になれば、あれほどの美女を自分の女にできるのも納得だし。

と、それまで自分と友人含め、クラブに通うやつらは大抵がそう思っていた。
あの男が現れるまでは。



「ソフィー」

豹柄のジャケットを羽織った金髪の男。
何故か靴の踵を踏んでいるその男はどこからか現れ、オレらが先ほどまで話題にしていた美女に向かってそう言った。

「ただいま、ソフィー」

再びその名前らしき言葉を口にする。
すると彼女の方もゆっくり顔を上げて男の方へ視線を向けた。

「…ジェシー…」

ソフィーと呼ばれていた彼女が男の首へ腕を回した。
まさかの出来事に俺たちは思わず声が出そうになった。

「家で待ってりゃ良かったのに」
「こっちの方が早く会えると思った…」
「そんなに俺に会いたかった?」
「…うん」
「かーわいいねぇ」

ICEの女かと思っていたが、まさかここに来て全く別の人物が現れるとは。


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