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「そういえば、○○ちゃんさーこの前太一先輩と帰ってたけど…何かあったのかな〜???」
同じクラスの織本さんが○○ちゃんに昨日のことを聞く。
『え、いや…何も?』
「うそー!絶対何かある!わざわざ○○ちゃんのいる教室来る?!隣のクラスのヒカリちゃんに会いに来るならまだしもよ!」
『んー…普通に一緒に帰っただけなんだけど』
「ふ〜ん」
ふ〜ん。普通に一緒に帰っただけ、ね。
『あ、タケルくんも一緒だったよ』
「タケル…?あー、高石くんか」
こっそり聞き耳を立てて見ていたので、咄嗟に頬杖をついて窓の外を眺める。
パタパタと足音が近づいてきて、僕の前で止まる。
「ねえねえ、高石くん」
「織本さん…なに?」
前の席に座った織本さんが僕を見る。視界に入る○○ちゃんはまた他の友達と喋りだし、こちらには気づいていない。
「昨日○○ちゃんと太一先輩と帰ったの?」
「うん」
「○○ちゃんと太一先輩は分かる。高石くんと太一先輩も分かる。でも、○○ちゃんと高石くんってそんなに仲良かったっけ?」
確かに回りから見れば、仲良くは見えないかもしれない。
―僕らの夏の冒険を知らないのだから。
引っ越してきて4年、中学生になって2年。でも○○ちゃんと出会ってから、7年くらい経つだろうか。
この、7年を…忘れてしまったのか。
「仲良く…なりたい、かな。○○ちゃんと」
「えっ…え、えええ?!!それって―」
ニッコリ笑いかけると、織本さんが顔を赤くして、わなわなとしはじめた。
○○ちゃんを誰にも取られたくない。今の言葉は、ツバをつけるという意味で。○○ちゃんの親友に知られておけば、役に立ってくれそうだし。
「太一さんはね…僕を応援してくれているんだ」
間違ったことは言っていない。○○ちゃんの記憶が戻るように、太一さんは僕を応援してくれているんだ。
「少しずつ仲良くしていきたいんだ…○○ちゃんと」
○○ちゃんは僕を好きになってくれた。だから、もう一度好きになってくれる。
そうだよね、○○ちゃん。
∞2015/12/10
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