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『あの…本当に、私のこと…好き、なんですか?』
「ああ、好きだ」
「っ、キャ〜!!!」
「返事はいつでもいい…部活あるから、じゃあな」
『………はい』
唇を噛みしめて、教室を出ていく太一さんの背中を追った。
「た、太一さん!!!」
「…タケル」
「あの…○○ちゃんに渡した紙って、いうのは―」
「さっきの話聞いていたのか」
あの時こちらをハッキリと見たくせに、今気づいたような物言いだ。
「っ、あの紙は…僕が入れたんです」
「あれは俺が入れた」
「あの紙の字は、○○ちゃんが書いたものです!隣には僕の…希望の紋章の絵が―」
「そんなの、○○が持っていた紙には書いてなかっただろ」
「っ!それは太一さんが―!」
「―遊びだよ」
「?!!」
「○○が、タケルを思い出すまでの…遊びだよ」
「何を言って―!」
「いいじゃねーか。いつかはタケルのこと思い出すんだしさ」
この状況で…何の手がかりもなく、ただ日々が過ぎていくのに―。
「○○ちゃんに…近づかないでください」
「…それは、○○次第…だな」
へらっと笑って、太一さんは去っていった。
太一さんの○○ちゃんへの感情は、「そのような好き」ではなかったはずだ。
―いや、薄々は分かっていた。
○○ちゃんは太一さんが好きだったけれど、太一さんは空さんが好きだった。それを知って、○○ちゃんはその感情を終わらせた。そして僕を選んでくれた。それは代わりじゃない。絶対に代わりじゃないのに…−
あの日の冒険の頃とは違う。
○○ちゃんの記憶から僕が抜け落ちてからの、太一さんの○○ちゃんを見る瞳は―
∞2016/02/11
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