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「たっ、たたたたたいちさん…から告られた?!!」
『しーっ!!!』
○○ちゃんから衝撃の話を聞いて思わず持っていた箸を落とした。
ヤバい。何がヤバいって、タケル。タケルだよ。あいつコレ聞いたら絶対にキレるだろ。先輩後輩とか関係なしに。
『今日ね、泉ちゃん風邪で休みで…相談する相手いなくてー』
「そ、そそそっか…」
タケルに報告するべきか?
いや、待て、俺の命日が決まってしまう。冷静に、冷静に…
『………』
「…○○ちゃんは、その、太一さんのこと…どう思ってるの?」
『えっ…?』
「先輩後輩とか、仲間とか、そういうのじゃなくて…恋という意味で」
『太一さん…のこと、は』
○○ちゃんは教室の窓の外を眺める。ゆっくり瞬きしながら、あの日ー8月1日を思い出しているようだった。
俺はその日の冒険にいたわけじゃないけど、その1日がみんなの絆の日だということは分かっている。友情だけでなく、愛情もあったはずだ。もしかすると、○○ちゃんはー
『太一さんのこと、好き』
「えっ…」
『太一さんのこと昔から好きなの。でも、何かね…いつからかその好きが他に…他の誰かに…』
遠くを見つめる視線は変わらず、眉間に皺を寄せる。たぶん、○○ちゃんの底には確かにタケルがいる。でも、いないことになっている。その矛盾が悩ませるんだ。
『ーよく分からないんだけどね、太一さんを好きな気持ちが無くなっていたのに、告白…されて、その気持ちが戻ってきちゃったかんじ…かな?』
「そ、か…そっか」
『でもね、お付き合いってなると恥ずかしいの…今までお兄ちゃんのように慕ってきたから…』
それでも嬉しそうに話す○○ちゃんを見てると、タケルが複雑な気持ちになるのが理解出来た。
俺だって、自分の好きな人が太一さんを好きになったら勝てる気がしない。自分がどんなに相手を好きな気持ちに自信があっても…相手が太一さんを好きと自覚したら負けなんだ。
「…○○ちゃん」
『ん?』
「○○ちゃんは、太一さんのことが好き?」
『………うん』
何で俺が傷つくんだ。
「太一さんに、早く返事しなよ」
『そう?』
だって、まだまだタケルのことを思い出しそうにはないだろ?
「うん、早く」
太一さんだって、考えて考えて、○○ちゃんに気持ちを伝えたはずだ。タケルのことも分かっていて…宣戦布告したんだ。
「○○ちゃんがその答えを選んだんなら」
俺は…タケルの親友で、太一さんの一番の後輩だって、自負している。だからこそ、この二人が選んだ○○ちゃんの…○○ちゃんの今の、気持ちを、一番に考える。
『大輔くん…ありがとう。放課後、伝えてみる―』
照れたように笑う○○ちゃんが、幸せになれるよう。俺はどんな答えでも応援しよう。
∞2016/05/21
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