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めぐりめぐって、毎年のように春が来る―春は別れの季節で、出会いの季節

こうして目の前に貼りだされた新しいクラス表で、別れと出会いが決まる


◇◇ ○○


自分の名前を見つけたのは大好きな友達とは全く違う場所―私だけ離れちゃった


「先生空気読んでよ!」


「酷い、マジありえない」


「絶対に遊び行くから!」


ミミちゃんたちはそう言ってくれるけど、やっぱり同じクラスじゃなきゃ会える時間は今までより減ってしまう

人見知りの激しい私は、上手くクラスに馴染めるか…不安を抱いて、決まったクラスへと足を踏み出した






「では、このクラスで一年間頑張っていきましょう」


担任の先生が挨拶をする。遠慮がちに周りを見渡すと、すでに寝ている人、話を聞かずに周りにちょっかいを出している人など―前のクラスとはやっぱり雰囲気が違っている


あの人―机の上にサッカーボールなんて置いてる、そんなサッカー好きなのかな。でも、何か見覚えのある―


ふと、このクラスでやっていけるのか―怖くなった






案の定、クラスには上手く馴染めず、何かとあれば私に押し付けてくる《都合の良い人》になっていた。そんなことをクラスの違う友人たちには言えず、無理に笑顔を作って過ごす






クラス変えから数ヶ月経ち、席替えをすることになった。くじを引いて、黒板に名前を書いてもらう―窓側だ

あまり人と関わりたくないし、外を眺めるのが好きだから、良かったと思う


「じゃあ席移動してー!」


ガタガタと荷物を持って、皆が移動をする


『風…気持ち良いな』


開け放つ窓からは、木の香が風に乗って入ってくる


「窓近いと気持ち良いな」


声のする方を振り向けば、
隣の席に座る―八神太一君


ニカっと笑って、持っているボールを指差した


「サッカー部の八神太一。隣の席、ヨロシクな!」



臆病


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