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片思いって気付いたら、何だか意味が分からなくなった―八神君のどこが好きって聞かれたら、いまいち的確に言えなくて


「やっぱり恋だったの」


「あたしは気付いてたもんね!○○ちゃんが八神君LOVEなこと!」


「で、どこが好きなの?」


『それが、…いまいち―』


「分からん、と」


『…はい』


「あ、でも○○ちゃんさ、八神君の笑顔が好きなんじゃない?」


八神君の、笑顔?


「だってほら、《気になる人》になったのはさ、八神君がよく笑ってるから、○○ちゃんは見てるって」





『あー…そっか』


「○○、あんたは」


はぁー、と3人はため息


『何で溜息?』


「恋っていう、恋じゃないっていうか…ねぇ」


「難しいよ、○○ちゃん!」


「不思議な片思いね」


散々友人たちに言われて、
ますます意味が分からなくなった


好きっていうのは、どの範囲から《好き》って言うのだろうか―本当に私は八神君を《好き》なのか


「○○」


『ん?』


「○○は八神君のこと、好きなのよ、だから私たち応援するわ」


あまり深く考えても、直観的に思えば良いと感じた

友人たちの笑顔で、色々と頑張ろうと思った


『…ありがとう』






放課後、少し遅れて教室を出る

グラウンドでは部活生の大きな声が聞こえてくる―そういえば、八神君の入っているサッカー部もグラウンドで練習しているんだよね

邪魔にならないようにグラウンドの隅を通って校門へと向かう


「おわっ!」


声がした方に自然と目が行った―聞き覚えのある声


「あ、◇◇さーん!」


転がってきたサッカーボール、それを追いかけて駆け寄ってくる八神君

足元に辿り着いたサッカーボールを拾い上げて、八神君に手渡す


「ありがとなっ!いま帰り?」


『うん、いま部活中?』


「そっ、今度の休みに試合あるから、もう練習ハードでさ、疲れるよ」


そう言うけれども、やっぱり表情は笑顔で―


『頑張ってね』


「もちろんっ!」


「あっ、たーいち!」


「おっ、空にヤマト」


校舎から声をかけてきた武之内さんは、石田君と手を繋いでいた―やっぱり、付き合っていたんだ


「部活お疲れ様、今度試合でしょ?」


「おう!」


こちらに気づいた武之内さんはほほ笑んだ


「こちらは?」


「同じクラスで今隣の席の、◇◇○○さん」


『はっ、はじめまして』


「はじめまして、あたしは武之内空、こっちは石田ヤマト」


「ヨロシク」


笑顔で手を差し出されたので、おずおずとこちらも手を差し出す―石田君って思ったよりも格好良い


『あっ、はい…ヨロシク』


思っていたよりもフレンドリーな2人だな、八神君みたい


「あっ、それでね太一―」






何か…違うって、気付いた




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