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気づいても、私も同じように相手をずっと好きで―いきなり諦めて、嫌いになれるなんて、本当は好きじゃなかったみたいで


『…どうしよう』


消しゴムを忘れて、あたふたしている私に


「消しゴム忘れたの?」


『………うん』


「なら、…ほら、半分個!」


わざわざ自分の消しゴムを半分に切って私に差し出してくれて


そんな優しさにまた好きになって―感情はあふれてばかり


『ありがと…八神君』


「へへっ、いつも勉強教えてくれるお礼」


笑顔を見るたびに心がぎゅって鳴る


忘れてしまえば早いこと、でも、無理なんだ





「◇◇さん」


放課後、いきなり3人組みの女の子たちに囲まれる―もちろん話したことなど全くない人たち


『…なに?』


「最近八神君と仲良いわよね」


『別に、仲良くなんか―』


ただ隣の席の、クラスメイト


「仲良くないのに、八神君が声をかけてくれるって?」


「勘違いしすぎー」


「調子のらないでよっ!」


肩を押されてそばの机にぶつかる―鈍い痛み、これがイジメってやつかな…


『私は…八神君とは、仲良くない』


「それは分かってるのよ、あんたと八神君がそんなわけないしね、だから話さないでって言ってるの」


ぐるぐると頭が回って、思考がいまいち働かない


でも、私が八神君と話さなければ、この人たちだってイライラしないし、私だって八神君のことを《普通の友達》って思える―良い機会ってことは理解した




『…分かった』


ふんと鼻で笑って帰っていく


これで良いんだ、別に、叶わないんだから、これ以上好きにならないように―




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