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瞬きを1つ

青い空と白い雲

瞬きを2つ

広いグラウンド

瞬きを3つ

恋しく思う


いつだって目線の先で
憧れる彼が笑っている






「◇◇!」


『っ、はい!』


「ボケっとすんな、授業聞いてんのか?」


『っ…すいません』


女の子達のくすくす笑う声が聞こえて、何だかちょっと泣きそうになる


「◇◇具合でも悪い?」


『だ、大丈夫だよ…うん』


心配そうに声をかけてくれる八神君の言葉を嬉しいと思いつつも、女の子たちの痛い視線に複雑な気持ちになる


何で好きなのに、あの子たちに邪魔をされなくちゃいけないんだろう


でも…あの子たちがいなくても、私の恋は叶わないんだよね


だって八神君、
好きな人がいるんだから―





「ん、◇◇だっけ?」


『あ、石田君…』


「何か元気無いな?」


『大丈夫だよ、ちょっと眠くて…ダルいだけだから』


「ふーん…、ほら」


手渡されたのは
冷たいココアだった


『くれるの?』


「糖分摂取は大事だぞっ」


『うん、…ありがと、ココア大好き』


「へへっ、今度は◇◇がおごれよなっ!」


『えっ?』


「じゃあな」


意味深に、爽やかに
笑って去っていった


『んー高いもの要求されたらどうしよう』


と思いながら、
冷たいココアに口を寄せた





「明日なー」


「おう、バイバイ」


ようやく放課後


下校ラッシュの靴箱を避けるためにトイレで時間潰し


髪ボサボサだな、直しとこ


学年の教室が並ぶ廊下はもう人がおらず、静けさだけ
鼻歌混じりに教室へ戻る



『ふんふーふんふん♪』


今日1日辛かったけど、ちゃんと時間はすぎていくから明日も頑張ろう


教室に入った瞬間、見慣れた人影に足が止まった


「鼻歌、◇◇だったんだー」


今にも心臓が出てきそうだ


「今日部活無いからさ、一緒に帰らねぇ?」


近づきたい


「そういえば、このココアって昼にヤマトが買ってたぜ、お揃いみたいだな」


でも、近付けない


「今度の期末テストで聞きたいことあるからさ、………◇◇?」


『っ、あ…ゴメン。急いで帰らなくちゃいけないから、また…明日』


カバンを掴んで勢いよく教室を飛び出して、階段まで走る


『はぁ…はぁ…、っ』


ダメって思うほど
好きが増して嫌になる


あんなに嬉しかった、
八神君の私に向けられる
声と視線は苦しくて嫌だ


放っておいてよ、お願い



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