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「○○ちゃん…」
ようやくエリアから抜け出して、明るい太陽の下へと出た。体の冷え切った○○ちゃんを空さんと京さんが着せた上着の上からさすって温めている。僕たちはそれを見守るだけ。早く目を覚ましてほしい。
「いったいこの暗いエリアは何なんだ?」
「全く分かりませんね…元はふつうのエリアだったんですけど、1週間前にいきなり天候が荒れたみたいで。誰も原因が分からなかったんでテントモンに調査をしてもらったら…―」
「テントモンは何か分かったことあるか?」
「ここらのデジモンに異変が起きる前後を聞いてまわったんやけど特に何も分かったことはありまへん…デジタルワールドは天気が急変することもありますさかい、最初は気にならなかったとか」
「そうか…でも、○○が無事で良かった」
「早く目を覚ましてくれるといいんですが…あ、他のみなさんに連絡しておきますね」
「あぁ」
とりあえず、このエリアの調査はいったん終わることになった。テントモンに回りのデジモンたちに近づかないよう知らせてもらって、リアルワールドに戻ることにした。
「○○ちゃん、まだ起きませんか?」
「うん…でもだいぶ体は温まったわ」
「顔色も良いし、呼吸もちゃんとしてるし、ふつうに眠ってるかんじね」
「そうですか…」
○○ちゃんの手を握ると、あのエリアに入るときに握ったときよりも冷たかった。少しの時間の間にこんなにも冷たくなったなんて。ギュっと握りしめて、体温を少しでも分けられたらと思う。
『………んっ』
「あ、○○ちゃん…?」
「○○ちゃん、分かる?あたしよ、空よ!」
『え、空さん?あれ、え、ん?』
上半身を起こした○○ちゃんが何がおきたのか分からない表情でキョロキョロと周りを見渡す。
「先輩たち!○○ちゃん起きましたよ!!!」
「○○!!!良かった!!!」
『太一…さん?いつの間にこっちに来たんですか?へっ?』
「二人とも○○ちゃんを助けるために来てくれたんだよ」
『…そ、ですか』
「?」
僕が○○ちゃんに声をかけると、何故か驚いた表情をして、繋いだ手を見て、困った表情をみせた。
『あの、えっと…』
「○○さん、どうかしたんですか?」
『この方…は?』
「え?」
∞2015/09/06
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