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「あ!○○ちゃーん!」


「どこ行ってたのよ、○○がくるまでご飯食べなかったんだから」


『ごめんね』


「具合でも悪かったとか?」


『ううん、…大丈夫』


「…○○が言いたくないなら、それでも良いけど。無理はしないでよ、心配になるから」


『ありがとう。へへっ、留姫大好き』


「な、なによ。早くご飯食べるわよ!」


『うん!』


「留姫照れてるね〜」


「だねだね〜」




〈それでは、男子の決勝戦の前に女子の決勝戦を開始します!それぞれのクラスを精一杯応援してください!〉


ついにクラスマッチの女子決勝戦。私のクラスと、武ノ内さんのクラスが戦うことになった。並んで挨拶をする際に、ふと目が合い、口パクで大丈夫?と聞かれ、小く頷くと、良かったと微笑んでくれた。


「よっしゃー、気合いいれて優勝とりにいくよ!」


「うん!がんばろ!」


どうせ私は今回も役立たずで終わりそうだけど、頑張らなくちゃ。


「あ、◇◇さん」


声をかけてくれたのは準決勝が終わったあとに話しかけてくれた子。確か、名前は加藤樹莉ちゃん。


「先生から保健室にいるって聞いたけど大丈夫?」


『あ、うん。大丈夫』


「そう!なら良かったー。無理しないで頑張ろうね!」


『…うん』


こんなに優しく話しかけてくれるクラスメイトは樹莉ちゃんと―八神君だけだ。

試合開始のブザーが鳴って、みんなが走り出す。オドオド動いては迷惑になるから、とりあえずコートの中心から離れたところで見渡す。


「こっち!」


「パス!」


点数は順調に入っていくけど、すぐに追い付かれる。そろそろ時間だ。早く終わらないかな。


「あ、ミスった!」


「樹莉!」


「え、あ!○○ちゃん!」


ボーっと時間が過ぎるのを待っていたら、突然名前を呼ばれて、気づけばてもとにボールがあった。


『え、』


「ちょ、なにやってんの!」


「○○ちゃん!シュート!出来るから!」


わけが分かんなくて、樹莉ちゃんは出来ると言うけど、回りの子はボールをこちらへ投げろと訴えてくる。でも、相手チームがこちらに向かってくる。


その中に、武ノ内さんがいたー一瞬、ただ、何となくだけど、負けたくない、って…思った。


『っ、』


「は、◇◇さん?!」


下手なドリブルでシュートできそうな場所まで走って、目をギュッと瞑って思いっきり投げた。




「入っ…た」


「ウソ…」


目を開けるとゴールを通り抜けて落ちていくボールが見えた。入って…しまった。



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