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『あ、そうだ!テントモンは大丈夫なんですか?!!』
「大丈夫…でした、けど。○○さん、いま何て?」
『え、だから、この人…って、あ、手ごめんなさい!!!』
バッと手を離して引っ込められた。どうしたんだろう。状況が理解できてないのか、少し…違和感を感じる。
「タケルくんよ」
『タケルくん?』
「そう、俺の弟だよ」
『えぇ?!ヤマト先輩弟いたんですか、あー確かに…よく見ると似てる、かも。目つきはヤマト先輩の方が悪いですね〜』
まるで、初対面だ。あははと笑って、初めましてと言われた。
「ちょっとおかしくないか?○○、俺らのことは分かるか?」
『何言ってるんですか?太一さんにヤマト先輩、空さんに京さんに光子郎先輩』
「じゃあこの人は…?」
『え、いま紹介してくれたじゃないですか、タケルくんでしょ?石田タケルくん?』
「いや、僕は高石タケル…で―」
『苗字………あ、何か、ごめんなさい…?』
「いや、別に…っ」
悪い冗談。からかわれている。そう思おうと必死に頭を回転させる。そうじゃなくても、あの空間にいたんだ、少し頭が混乱しているから、僕のことが…分からないだけだ。そうだよ、きっと―
「どうしてタケルのことだけ…」
「○○、小学生のころの冒険は覚えているよな?」
『はい、8月1日の、ですよね?』
「ああ、メンバーは?」
『何でそんなこと聞くんですか?』
「いいから」
『…太一さんと、ヤマト先輩。空さんにミミさん、光子郎先輩。私がいて、最後にヒカリちゃん』
「タケルは?」
『?』
唇を強く噛んだ。痛くて痛くて血の味がして、夢じゃないって分かる。
「大輔たちのことは分かる?」
『もちろんですよ、同じ学年ですし。このメンバーからいくと、伊織くんだって、賢くんだって分かりますよ?』
おかしいよ。だって、数時間前まで、僕たち―
「一時的な、記憶障害とでもいいますか…それ以外考えられませんよ」
「あの空間にいたから多少混乱しててもおかしくないしな」
「でもタケルくんだけ、って」
「俺たちのことも冒険のことも覚えてるのに、なんでそこにタケルだけがいないんだ?」
兄さんたちが話していることが心に刺さる。まだ状況が理解出来ていない○○ちゃんに京さんがテントモンを助けに来て、はぐれてしまったことを話した。
『そうですよね?テントモンが見つかって、早くここから出ようとして、…そして、そこから…記憶なくて。気づいたらここで、みんながいて』
「このエリアとファントモンの影響でしょうね」
「僕のこと…思い出しますか?」
「分かりません…一時的なものなら徐々に。そうでなくても、きっと原因があるはずです。それを解決出来れば―」
涙が出そうになるのを必死に堪えて、僕たちは帰ることにした。
∞2015/09/09
ALICE+