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輝二くんと別れて教室へと戻…ろうとしているけれど、どんどん足が重たくなっていく。教室で八神くんと鉢合わせたらどうしよう、とか考えると足が進まない。


『今さら…もう輝二くんも教室戻った、よね』


お腹空いてるし、どうしよう。

おずおずと教室の中を覗き込むように進むと、


「○○!いたぁ!!!」


『え、え、え?!』


大声で名前を呼ばれて驚きながら振り向くと、怒った様子の留姫がズンズンと近づいてくる


「○○どこいってたの?!今日は○○の教室でご飯食べようって言ってたのにいないからビックリしたじゃん!保健室行ってもいないし、心配したんだから!」


『あ、ご…めん。すれ違っちゃった…みたい』


「…そう。なら…ちゃんと連絡してよ、すーっごい!心配したんだからね」


余計な心配をかけまいと、とっさに嘘をついてしまった。少し息を切らしている留姫は校内を走り回っていたのかも…本当に申し訳ない。


『ごめん…』


「はあー…本当に○○は謝り過ぎ。友達なんだからそーいうのやめてよね、もう気にしてないから。あーお腹減った!罰として○○のお弁当からあたしの好きなおかず貰うから」


『ふふ、うん』


留姫はよく私を心配して怒ってくれる。でも私がこんな性格なのを分かってくれているから、最後には優しい言葉をかけてくれる。


「あ、○○ちゃーん!」


「どうしたの?具合悪かった?」


『あ、だ、大丈夫だよ。心配かけちゃって、ごめ…』


また謝りそうになって、そっと留姫を見ると


「なぁによ?」


『ふぇ』


頬を掴まれた。


「早くお弁当出しなさいよ、お腹空いた」


『ふぁい』


「あれ、どうしたの」


「○○がおかずくれるって言うから」


「…それ、絶対嘘でしょ。留姫におかずねだられたんじゃないの?○○ちゃん無理しないでいいのよ」


「泉―あんた最近また太ったんだから、あたしがおかず貰ってあげようか?」


「なっ!!!べべべべ別に太ってません!!!しっかり食べなきゃ健康に悪いんだから!!!」


「あ!だったら、あたしのお弁当のおかずあげようか?ミミちゃんスペシャル納豆弁当いちごジャムバージョン!!!」


そういえば、教室に近づくと足が重くなるにつれて、変な臭いもしていたんだった…まさか原因がミミちゃんのお弁当だったなんて。よくよく教室を見渡せば人が少ないうえに窓全開。八神くんもいなくて、安心。


「さっきからしていた異臭はこれか…」


「ねね!どう?どう?あたし的にはねー、この納豆オムレツにいちごジャムをかけたのがオススメなんだー!茶色と、黄色、赤色で可愛くない???」


「ミミ、落ち着いて。あたしは○○から貰うから大丈夫。自分で食べて」


「えー自信作なのにぃー。○○ちゃんは食べる???」


『え、』


「○○に食べさせたら1ヶ月納豆禁止令出すから」


「えぇええ?!納豆食べれなくなったら死んじゃう!!!」


「なら黙って食べて」


「はーい…あ、いずみちゃ「ダイエット中!!!」…ちぇー」


「さてと、じゃあ、いただきまーす」


やっぱりお昼ご飯の時間が一番好き。学校にいて、唯一、留姫たちと一緒にいられる時間。みんな優しいし、自然と笑顔になれる。


「そういえば、今日のお昼は○○ちゃんの教室だから、あの八神くんに会えると思ったけどいないわね」


「しょうねー」


「ミミ、食べながら喋らないで」


『別の教室でご飯食べているのかもね』


せっかく留姫たちといるんだし、明るく、明るく。


「最近どう?」


『んー…何もない、な』


「そっかー。ま、まだまだこれからだし!ってか、ってか!そろそろ夏休みだからーみんなでどこか行こうよ!!!お泊りしたい!!!」


「わー良いわね」


「でしょでしょ!夏といったら海!」


「海も良いけど、日焼けしそうね」


「じゃあ、山!」


「山でなにすんの」


「登る!そして、叫ぶ!ヤッホーって!」


「はあ」


「○○ちゃんは、海と山、どっちがいい?」


『うーん…どっち、でも』


「なら、各自、海か山かどちらに行きたいか、小論文でまとめてきてね!!!」


「はぁー?何それめんどくさい」


「提案したミミが書いてこないパターンね、これ」


「えー書いてくるもん!!!」



∞15/02/09
ALICE+