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「よっしゃあ!夏休み!!」
「宿題多すぎない?」
「成績悪い…かーちゃんに怒られる〜」
1学期終業式。
通知表や夏休みの宿題に一喜一憂するクラスで、無事に1学期の生活が終わったことに安堵する。
『成績まあまあ、悪くはない…かな。夏休みの合宿楽しみだな…あ、でも輝二くんには当分会えなくなるか』
留姫が見つけた勉強合宿のプリント。あれからミミちゃんと泉ちゃんに知らせると、タダということに激しく感動し、勉強は何とかなる!というノリで、夏休みの合宿が決まった。
終業式が終わった放課後に説明会があるらしいけど、勉強合宿なんて他に誰か行く人がいるのかな…?
「◇◇、成績どうだった?」
『え、まあ…まあだった』
保健室の前で八神くんから逃げてしまった日から数日たったけど、八神くんはあの時のことを特に聞くわけでもなく、いつもどおりに話しかけてくれている。
「そっか…いや、そうだよな、◇◇だもんな、成績悪いわけないよな、んぁ〜!!!」
『八神くん、成績悪かったの…?』
「っ、ちょ、ちょっと…だけ?うん、ちょっとだけ、あ…そうだ、ポジティブになろう、そうだ、ちょっとくらい成績悪くても死にはしないし!うん!大丈夫だ、もう上に上がるしかないもんな、うんうん。よっしゃあー!夏休みエンジョイするぞぉおおお!!!」
『っ、ふふ』
「あっ、◇◇笑ったな、むぅ」
さっきまで落ち込んでいたのに、いきなり自己解決して元気になるなんて…やっぱり八神くんだなーと思わず笑ってしまった。
それをバカにされたと思ったのか、今度は頬を膨らませた。
『ご、ごめん、何か…ふふ、面白すぎてっ』
「◇◇笑いすぎ…っ、俺までおかしくなってきた」
久しぶりに面と向かって笑いあえた。
心がほっこりする。
「はぁー、1学期楽しかったな」
『…うん』
このクラスになった最初は上手く馴染めなくて苦労した。女の子から嫌なことを言われたりして傷ついたりもした。
でも 、クラスマッチでクラスから認められた。まだみんなと仲良しってわけではないけれど、上手く残りもやっていけそう。
八神くんに対する気持ちも振り返れば、隣の席になれて嬉しかった、頼られて嬉しかった。
何度も諦めようとした。武之内さんへの気持ちに気づいて苦しくもなった。でも、やっぱり八神くんが好きみたい。
「◇◇は夏休みどっか行く?」
『うん、友達と勉強合宿』
「あ、◇◇も行くんだ、勉強合宿」
『八神くんも、行くの?』
「んー親と妹に言われてさ。あ、あとヤマトと空にも誘われて、一緒に来いって。強制だよーったく」
『そ…なんだ』
みんなで合宿ってこと、だよね。
留姫たちと一緒なのは良いけど、また…八神くんと武之内さんが一緒にいるところは見たくないなー…とか。思ったりする。ちょっと、だけ、ちょっとだけ。
輝二くんに色々と話を聞いてもらって、少し心が軽くなったし、考え方も変わった…と思ってたけど、やっぱりちょっと…ね。
「◇◇と一緒なら勉強は心配ないなー!」
八神くんは武之内さんとずっと友達でいたいのかな。
ヤマトくんが大事な親友だってことは分かっているけれど…私からしてみれば、何で、って思うよ。
∞15/02/25
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