エピローグ


爽やかな風の中に夏の香りが漂う


『はい、約束のココア!』


「ん…ありがと」


『夏休み あっという間だったね』


「そ、だな…」


『?』


「何か、雰囲気変わった」


『そうかな? そうだったら…良いな』


あの夜に八神くんへの気持ちが完璧に消え去ったわけじゃない。

今はまだ無理だけど、いつの日か、もっと…心が大人になったら、今まで抱えてきた思いが分かる日がくるんだと思う。

本当にこれで良かったのか…って、たまに思うときもある。

けど、そんなことは言わないでおこう。



夏の香り

好きな香り

短い時間で

大切なことを

私は知った


―好きな人が幸せでありますように。


エピローグ
私は知っているから―自分の物語を。


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