初恋センチメンタル


君と話すのも手を繋ぐのも昔は当たり前だった


『なっ何この宿題の量…』


「中学生ですし、これくらいあって当然ですよ」


『ありえなーい』


1学期終業式、出された宿題の量に項垂れる○○さん


『8月までに終わらないな―』


あの冒険から3年も経った、僕らは平凡な日々を過ごしている


『ねぇ、光子郎君』


「はい…?」


『今日1日でこの宿題終らせられるかな?』


「え、頑張ればなんとか」


『じゃ、光子郎君の家行くからよろしく☆』


そう言って○○さんは颯爽と教室を出て行く―家来るって…どういうこと?



*――*――*



『こんにちわー』


「やっぱ来たんですか…」


玄関にはニコニコと笑う○○さん、しっかり夏休みの宿題も持ってきている


『来ないと思った?』


「まぁ…どうぞ」


『お邪魔します』


冗談かと思ったけど少し期待もしていた…―なんて言えるわけない

とにかく宿題しよう―






ゴンっ!


「えっ、どうしたんですか?!」


急に大きな音がしたと思ったら机に突っ伏している○○さん


『ダメだ、分からん』


「あはは、どこが分からないんですか?」


『全部!』


「…少しくらい自分で頑張ってくださいよ」


『ちぇー…』


しばらく○○さんを見ていた


「………」


『………うぅ』


「分かりましたから、泣かないでください!」


『ありがとっ!』


結局全教科を教える



*――*――*



『半分終わった…!』


「頑張りましたね」


『うん!』


夕方で夏休みの宿題が半分終了


『あと半分だし、また明日も来て良い?』


「え、良いですけど…また―」


『教えてね』


「…はい」


この笑顔には負ける
明日も頑張らねば


『じゃあお世話になりました』


「いえ」


『………』


「?」


じっとこちらを見られたと思ったら、ぎゅっと手を握って引かれ―頬に触れるだけのキスを1つ


「えっ、ちょっ」


『お礼よ、お礼』


「はぁ…」


『また明日ね、バイバイ』


「さよ…なら」


帰って行く○○さんの後姿…昔は当たり前だったことが―今じゃドキドキと苦しくなる



初恋センチメンタルスタート


(…期待しちゃいますよ?)

(気づいてくれたかなー)



*10.01.27*
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