ああ! だいたいの恋愛小説や映画なんかじゃ、失恋した女の子は慰めてくれる男の子と最終的には恋に落ちるというのが定石だというのに! どうして、この男には恋人がいる! どうして、この男は私に優しくする!! 中途半端な優しさなんていらない。口づけしてくれない唇なんていらない!
「いや、失恋したばっかりなんでしょ。で、慰めてくれた人を好きになるなんて、私には随分安直に見えるけどな。結局、ビル・ウィーズリーがハンサムだからってことじゃないの?」
「……ローワン、失恋したての友達に随分冷たいよね」
「だってそう感じるもの。私には恋愛とかよくわからないけどさ」
ローワンの言うことは、正論だ。でも! そうかもしれないけど! そうかも、しれないけど! 今こうして切なくなってる私の心は本物なのだ。
ときめきの理屈
(210423)
(title by icca)
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