談話室のどこかで誰かが、くしゅんと小さくくしゃみをするのが聞こえた。そういえば少し肌寒いわね、とハーマイオニーが言った。確かに冷たい空気が鼻の奥をくすぐるのを感じて、今度は私がくしゃみをした。ハーマイオニーは静かに立ち上がって、燻っていた暖炉に新たに火を送った。

「ハーマイオニーは優しいね」
「困っている人がいたら、できることをするの。当然でしょう?」
「はい、当然ですね、先生」
「何よ、馬鹿にしてるのね」

 少し頬に赤みが差し、彼女も照れているのがわかった。いや、暖炉のお陰で部屋が暖まってきたから、そのせいかしら? ハーマイオニーの手を取る。彼女の手も冷たかった。私の手も冷たい。でもきっと、握っていればいつか暖かくなる。

分け合う熱に溶け合いたい
(210507)
(title by icca
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