過保護な愛を受け入れて


「さっき宅配来たから荷物受け取って置いたよ」

 仕事を終え家へと帰りシャワーを浴びてリビングに向かう。一緒に住んでいる恋人のゆき乃が笑顔を咲かせながら俺にそれを差し出した。
 ありがとう、とそれを受け取ってあることに気がついた。いや待て。いつこれが届いた。

「ゆき乃」
「うん?」
「これをいつ受け取った」
「リヴァイがシャワーしてる時だよぉ?」
「届けた宅配員はいつもの男か」
「うんそうだけど…え、どうしたの?」
「……その格好で、出たのかと聞いてる」

 ゆき乃は俺の言葉の意味を理解しようと、自分が身にまとっている服を首を下げて確認している。その視線がまた俺に戻った後、ゆき乃の首は今度は横に傾き、そして目を数回瞬かせこう言った。

「なんか変だったかなぁ?」

 思わず手を額に当て溜め息を漏らした。俺に近づき、「なになに?」と俺の腕を揺らして聞いてくる。この鈍感過ぎる恋人に俺は今にも気持ちが爆発しそうだった。
 ゆき乃は俺が帰宅した時にはもうシャワーをして部屋着に着替えていた。ゆき乃は色んな部屋着を持っているが、何故今日に限ってと言いたくなる格好だ。大きめのTシャツにショート丈のパンツ。そこからは当然素肌の脚が見えていて、その組み合わせの所為で何も履いていないかのように見える。
 俺にとっては最高の格好だ。正直言ってクソ可愛い。ただそれを他の男に見せたのも、自覚が無いのも許し難い。今度あの男が来たら目を潰そうか。

「リヴァイ…?」

 俺の名を呼ぶゆき乃が上目で見てくる。まだ少し髪も濡れていて緩く纏めているせいで落ちてる髪も魅力的だ。あぁ…クソ。
 湧き上がる感情を乗せたまま、ゆき乃を抱き寄せその唇を塞いだ。ポカンと口を開けたままだったゆき乃の口内にそのまま舌を入れ、温かなそれを絡めとるとゆき乃のくぐもった甘い声が耳に届いた。
 散々ゆき乃の唇と口内を堪能してから離れると、熱い吐息を零し頬を紅潮させ目を潤ませているゆき乃が俺を見つめていた。ずっと体内を駆け巡っていた沸騰した血液が、一点に集中していくのが分かった。
 どうして俺の恋人はこんなにも可愛いんだ。誰の目にも触れさせたくねぇ。閉じ込めておきたい。むしろ小さくして胸ポケットに入れて置きたい。そんな犯罪まがいな発想さえ生まれてしまう。
 本来こんな風に恋愛する俺ではなかった。ゆき乃に出会って、ゆき乃を知っていく度に目覚めていった俺の感情。ゆき乃だけに抱く独占欲。恋愛においても冷静でいられた俺は何処へ行ったのやら。

「なんか…怒ってる?」
「いや怒ってなんか……あぁそうだな、めちゃくちゃ怒ってる。こんな格好を他の男が見てゆき乃を変な目で見てんじゃないかって」

 ゆき乃を抱きしめたまま太腿からお尻へと手を這わす。少し布を上げるだけで、柔らかくて桃のようなそれに触れられる。指先を動かせば微かにゆき乃が声を漏らした。俺に感じてくれてるというだけで、心臓が震える。

「べ、別にそんな目で見てないと……っぁ、ん」
「そんな格好を見せていいのは俺だけだ。この素肌も、唇も、髪の毛も、指の先まで全部…――笑ってんじゃねぇ」
「だって、なんかリヴァイが可愛いから」
「あ?」
「その独占欲ぶつけて…この身体に」

 にこりと笑うゆき乃は俺が翻弄されているのが分かっているのか、それとも天然か。どちらにしても俺がゆき乃に心を掴まれているのは間違いない。
 今更それに抗うつもりはない。そんな自分を受け入れて、お前を愛そう。心のままに。こんな俺もそう悪くはないだろう。

「ゆき乃」
「うん?」
「俺だけを見ていろ」




(心も体も、甘く翻弄されていく)

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