April mist.NOTE
▽2020/10/02(Fri)
銅橋
“結婚することになった”
そんな内容のメッセージを送れば、今でも交流がある部活の先輩や後輩は祝福の言葉を返してくれた。
そのうちの1人、真波が話の流れで会おうと言ったため、オレはそうすることにした。
「オイ」
久しぶりだというのに、コイツはまるで昨日の続きのように「バシくーん」と席についたと思えばすぐさまメニューを開く。
「この店おいしいんだよ、オレここのオムライス好きなんだー」
「そうかよ」
なんか学食ン時みてえだな。テーブルに肘をついてメニューが回ってくるのを待つ。
「どれもおいしそうだなあ。バシくんもう決めた?」
決まるワケねえだろ!と思わず怒鳴る。
「オマエがずっとメニュー独占してんだから!」
「そっか。じゃあハイ」
あいかわらずマイペースだな、とため息をつきながらメニューを眺める。
オムライスうまそうだな。
「オレも同じのにする」
「おっけ、すみませーん」
カルボナーラふたつ、と真波は言った。
「なんでだよフツーそこはオムライスだろうが!」
「えーだってオムライスにするなんてオレ一言も言ってないよ」
そうだけどよ・・・。くそ、コイツと話すとホントに調子がくるう。
でも懐かしくなった。
「・・・黒田さんとか泉田さんとかと、連絡取ってたりすんのか」
「たまにね。1番多いのはたぶん東堂さんだけど」
真波は「驚いたよ」と笑う。
「なにがだよ」
「バシくんが最初に結婚決めたこと」
まっすぐな相手のまなざしからなんとなく目をそらした。照れくさいからだ。
「マネージャーさんとずっと付き合ってゴールするんだからすごいよ」
「るせえ」
自転車乗ってメシ食ってるオメーのがすげーよ、とは言わなかった。
そんなことができるのはひと握りのよっぽど強ェヤツらだけだ。
そのひと握りの中にいるってのに、目の前のコイツはあいかわらず学生みたいな顔をして笑っている。
「おめでとう、バシくん」
「・・・ありがとよ」
「ところで、今日はオレがおごろうと思って来たんだけど・・・家にサイフ忘れてきちゃった」
「なんッでだよ!」
category:ss(箱根)
タグ: