April mist.
NOTE

▽2020/09/13(Sun)
小鞠
私には婚約者がいる。
岸神小鞠。“イイ肉”に執着する変わり者だ。
昔は普通の子だった。大人しくて、いつも人の後ろに隠れているような。
そんな姿を見ていてはがゆく思う時もあった。
それなのに、
「(いつからああなっちゃったんだろ・・・)」
おいおい大丈夫か?と思う瞬間はたくさんある。でも、今の小鞠は前よりもずっと充実しているように見えた。
小さい頃からずっと彼を見てきた。彼のお嫁さんになるのが自分に与えられた役目だと思っていた。
それは今も変わらない。
でもなあ。
「あ、」
小鞠からのメッセージが返ってきた。次の試合、観に行ってもいいか尋ねたのだ。
“お好きにどうぞ”
彼らしいあっさりした返事だった。
お好きに、か。ならそうさせてもらうことにしよう。

***

「あ〜なんで俺にはカノジョがおらんのやろ〜」
おかしいわ、絶対おかしいと水田はくり返す。
「あんなにインハイで活躍したのに」
「言うほど俺らしてたか?」
「もちろんや!なあ小鞠」
おまえもそうやろ?と水田はうつむいて本を眺めていた彼に問う。
「え?」
「カノジョ。小鞠も欲しいやろ?」
いいえ、と小鞠は答えた。
「婚約者がいるので」
ハァーーーー!?という絶叫が響いた。
「こここ婚約者ァ!?エッこ、え?あ、コンニャク?」
取り乱す水田を「落ち着け」と山口がなだめる。
「婚約者?カノジョやなくて?」
小鞠は笑顔を浮かべたままだ。
「負けた・・・後輩に・・・しかもカノジョやなくてこ、コンニャク・・・」
「水田・・・」
木利屋は尋ねた。
「おまえずっとニクニク言うとるけど、婚約者さんはどうなん?」
小鞠はゆっくりと指先を唇に触れた。
そして、
「・・・エッチ」
「「「・・・っ!!!」」」

プラトニックです



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