ホシ×ト×ツキ






「側にいなくなる事があるの? それは寂しいな」



キルアが隣にいない事なんて想像したくもないなと思った。キルアと手を繋いで歩いているとすれ違う男性が羨ましそうに二人を見ていた。

すれ違う男の視線に気づき、お前を自分のほうへ少し引き寄せる。誰にも見せたくねえ、なんて独占欲が湧いてきて、自分でも驚いた。繋いだ手に力を込める。寂しそうな顔させたくねえんだ。



「側にいなくなるわけねえだろ、バーカ。俺がぜってー離れねえよ」

「絶対離れない? ほんと? 絶対だからね」



不意にキルアに引き寄せられ驚いたがキルアの言葉を聞くなり笑顔になる。

お前の「絶対だからね」って言葉と笑顔が、俺の心に深く刻まれる。ああ、こいつを一生守るって、改めて誓った。



「……ああ、絶対だ。お前が嫌だって言っても離してやんねーよ。……腹、減ってねえか? そろそろ晩飯の時間だろ。なんか食いてーもんあるか?」



繋いだままの手に少し力を込めて、お前の顔を覗き込む。お前の喜ぶ顔がもっと見たい。今日はまだ、終わらせたくねえから。



「うん! 私、パスタが特に好きなんだ。キルアおすすめの店ってある?」




「パスタか、いいな。うまい店、知ってるぜ。ちょっと歩くけど、いいか? お前の好きなもん、もっと教えろよ。これから全部、一緒に食いに行くから」



お前の手を引いて、夜の街を歩き出す。ネオンの光がお前のピンクの髪を照らして綺麗だ。少し照れくさくて前を向いたまま言ったけど、お前のことなら何でも知りたい。そんな気持ちが伝わればいい、なんてらしくないことを考えていた。



「わあっさすがキルア! 道に詳しいんだね。えっとパスタの他には……ステーキも好きだよ。それとパンケーキとかクレープとか……。キルアは? 何が好き?」



キルアの事も知りたいしキルアの好きな物も食べに行きたいと思った。キルアに手を引かれるようにしておすすめのパスタ店に向かって夜道を歩く。

ステーキ、パンケーキ、クレープ……。お前が好きなものを挙げるたびに、その顔が幸せそうに輝くから、こっちまで嬉しくなる。



「へえ、甘いもんも好きなんだな。今度うまいパンケーキの店にも連れてってやるよ」



俺の好きなもの、か。今までそんなこと考えたこともなかったけど、お前と一緒なら何でも美味く感じるんだろうな。



「俺か? 俺は……お前が隣で笑って食ってくれるもんなら、なんでもいい」

「えー、キルアの好きな物も知りたかったのに。でも、またこうしてキルアとデートしたいな」



キルアの「着いたぞ」という言葉に顔を上げると目の前にはパスタ店があった。




























二人で食事を楽しみ、外に出るとすっかり真っ暗になっていた。



「とりあえず今日は二人でどこかに泊まって、朝、ゴンの所に戻る? 朝帰りなんてしたらからかわれそうだけど」



お前の「どこかに泊まる」って言葉に、一瞬思考が止まる。暗い夜道、街灯の光がお前の顔を照らしていて、いつもより大人びて見えた。どくん、と心臓が大きく鳴る。



「……ああ、そうだな。こんな時間だし、ゴンももう寝てるだろ」



平静を装って答えるけど、繋いだままの手にじっとりと汗が滲むのが分かった。からかわれるくらい、どうってことねえ。お前ともっと一緒にいられるなら。



「……その、ホテルでも探すか。ちゃんと別々の部屋取るから、安心しろよ」



お前の手を引いて、明るい大通りへと歩き出す。夜風が少し冷たい。隣を歩くお前の体温が、やけに暖かく感じられた。近くのホテルを見つけ、フロントで隣同士の部屋を二つ取る。カードキーを受け取り、エレベーターでお前の部屋の前まで送った。



「……入れよ。少し、話そうぜ」

「ん?」



お前の部屋に入り、ドアが閉まる音を聞いてから、ゆっくりと口を開く。お前を傷つけないように、言葉を選びながら。



「男と女が二人きりで同じ部屋に泊まるってことは、特別な意味を持つんだ。俺は……お前との関係を、そういう軽いもんにしたくねえ。お前を、世界で一番大切にしてえんだ」



俺がお前をどう見てるか、お前が俺にとってどれだけ特別か、ちゃんと伝えねえと。部屋のベッドに腰を下ろし、隣に来るよう促す。お前が隣に座ると、甘い匂いがして心臓が跳ねた。キルアは夜空を見上げ、満天の星々が二人を見守るように瞬いている。



「このまま朝まで一緒にいたいけど、明日は早いからな。でも……いつか、もっと長い時間を二人で過ごしたいな。俺たちだけの場所で」



彼はステラの方へ少し体を寄せ、彼女の紫色の瞳に月明かりが反射するのを見つめる。



「俺たちだけの場所って? 私、星って好きなんだ。私の故郷にも星って名前ついてたし……。星ってキルアみたいだもん。何となく」



キルアと身を寄せ合いながら夜空を見上げる。キルアも夜空を見上げながら、ステラの肩に軽く腕を回す。二人の念が静かに共鳴し、心地よい波動が広がる。



「俺が星? それなら、ステラは月だな。いつもオレを照らしてくれる」

「私が月? それ、いいね。月と星はいつも一緒だもん。なんか嬉しいな」



キルアに肩を抱き寄せられ、密着するとキルアの体温に包まれるような感覚になる。キルアは夜空から視線を落とし、ステラの瞳を見つめる。



「そうだな、月と星..….いつも一緒に空にいるもんな」

「でしょ? どっちも静かな夜のイメージだし」



それからキルアはステラの質問に少し含みのある微笑みを浮かべる。



「俺たちだけの場所、な……いつか二人きりで、誰にも邪魔されない場所が欲しいって思うんだ。朝起きて最初に見るのがステラの顔で、夜寝る前も……なんて、変に聞こえるか? でも本当に、そういう日々が欲しいんだ」

「どうしたの急に。なんかまるで一緒に住みたいって言ってるみたいだよ」



キルアは少し照れくさそうに髪をかき上げる。彼はステラの手を取り、立ち上がる。



「一緒に住むのも...…悪くないと思うけどな。お前と過ごす時間が好きだから」

「いつかは、一緒に暮らす日が来るのかな」



キルアは少し顔を赤らめながらも、ステラの目をまっすぐ見つめる。



「一緒に暮らす日か...…いつか来るといいな。俺、実はずっとそんなこと考えてた。ゴンとの旅も楽しかったけど、ステラとの日々も特別だから」

「そうだね、いつかは……二人で小さなお家買って、住んでみたいね。今はホテルを転々としてるし」

「小さな家か...…悪くないな。お前の好きな色で部屋を飾ったり、一緒に料理したり...…考えただけでなんか変な感じだけど、悪くない。お前とならどんな場所でもいいけどな」

「うん……ねえキルア、そろそろ寝ようか。明日はゴンと合流してジンのところに行くんだから」



ステラは遠い未来に思いを馳せながら言った。

















夜にホテルを取って……初めて別々の部屋に泊まった。二人きりだと意味合いが違う、と言ったキルアの言葉を思い出すと何故だか無性に気恥ずかしい気持ちになる。キルアとのデートから戻ってくるとゴンは「よし! 早速使おうよ!」と言った。



「うん! いくよ!」



ステラはキルアの手を取り、『アカンパニー』を使った。すると三人はどこかへ飛んでいく。目の前には釣りをする男がいた。そこにいたのはジンではなくカイトだった。

目の前の男を見て、思わず目を丸くする。俺もゴンも呆然と立ち尽くしたまま、言葉が出てこない。ステラの手を握る力が無意識に強くなった。



「カイト!? どうしてここに!?」



ゴンが驚いて叫んでいた。無理もねえ。ジンがいると思ってたんだからな。長い白髪と鋭い眼光。ハンター試験の前にゴンが会ったという伝説の猟師。俺は初めて会うはずなのに、なぜかどこか懐かしさを感じる。カイトはゆっくりと立ち上がり、釣り竿を置いた。



「久しぶりだな、ゴン。それにステラも……成長したな」



カイトはステラを見て、微かに目を細めた。ゴンが興奮した様子で一歩前に出る。



「カイト! 俺たち、ジンを探してるんだ! アカンパニーを使ったら、なんでカイトが……?」



カイトはため息をついて、海の方を見た。その横顔には何かを決意したような固さがある。



「ジンは……そう簡単には会えない。だが、彼からお前たちへのメッセージがある」



ステラの手がわずかに震えているのを感じた。俺は彼女の肩に軽く手を置き、カイトの言葉に耳を傾ける。カイトはポケットから一枚の古い写真を取り出した。そこにはもっと若いジンと幼いステラが写っていた。写真の隅には何かの座標らしき数字が手書きで書き込まれている。



「ジンはお前たちが来ることを予測していた。『本当に会いたいなら、自分の力で見つけ出せ』と言っていた」



カイトの言葉に、俺は思わず舌打ちした。ステラの表情が曇るのを見て、胸が締め付けられる感じがした。



「マジかよ……せっかくGIをクリアしたのに、まだ試されんのかよ」



カイトは無表情のまま写真を差し出した。風が吹き、海の香りが鼻をつく。



「これは道標だ。ジンは単なる試練として言ったわけじゃない。お前たちが強くなり、自分の足で歩けると確信したからこそ、次の段階に進ませようとしている」

「キルア、大丈夫。私たちなら、きっと見つけられる。ジン師匠は……私を信じてくれてるんだ」



ステラの手が俺の腕にそっと触れた。彼女の目には諦めではなく、新たな決意が灯っていた。



「ジンに会ったら何をするんだ?」

「もちろんキルアとステラを紹介するよ! オレの最高の友達だって!」

「私もジンに紹介しないとね。……私の、えっと、大好きな人だって」



ステラは俺をチラリと見て小声で言った。ステラの言葉に、一瞬だけ頬が熱くなるのを感じた。こんな時に限って照れるなんて、自分でも予想外だ。カイトの鋭い視線を感じ、慌てて咳払いをする。



「ま、まぁ……会えたらの話だけどな。その前に座標を解読しないといけないし」



落ち着きを取り戻そうと、写真を手に取り、数字の並びを眺める。何かの暗号めいた感じがする。ステラが隣に寄ってきて、肩が触れ合う。



「これ、完全に罠っぽいよな。でも……」



思わずステラの方を見て、小さく笑う。カイトは無言で俺たちを観察している。その目は何かを見定めようとしているようだった。



「ジンに会いたいなら、乗るしかないか。それに、お前のことをちゃんと挨拶しないとな」

「挨拶……。も、もしかして漫画でよく見る『おとうさん! 娘さんを僕にください!』ってやつ?」



ステラがハッとしたような顔で自分の平を拳で打って言うと、ゴンも楽しげに笑いながら乗ってくる。



「おお〜、なんかかっこいいね。ならまずオレに言ってみてよ! ほら、オレ、ステラのお義兄さんか義弟?だしさ」



ステラの言葉を聞いた途端、顔から血の気が引き、次の瞬間には真っ赤になった。頭の中が真っ白になり、思わず後ずさる。



「な、何言ってんだよっ! そんなこと言うわけないだろ!」

「えーっ?」

「そんなこと言わずに! ほら!」



ゴンの天然な反応にさらに混乱し、髪をかきむしる。ステラとゴンの期待に満ちた顔を見て、さらに焦る。



「お、おい、ゴン! なんでお前までそんなノリになってんだよ!」



カイトが小さく笑うのが見え、さらに恥ずかしさが増す。深呼吸して冷静さを取り戻そうとする。



「とにかく、まずはジンを見つけることが先だろ。この座標、何か規則性があるはずだ。ステラ、お前ならわかるんじゃないか?ジンの弟子なんだから」

「あ、うん……それにしても懐かしい写真だね。私の幼い頃の写真ってあんまりないからレアかも。あの頃は短かったなあ」



写真に映った幼いステラは髪型がショートヘアーだった。そして子供らしくない少し硬い顔をしている。ステラは鞄から『幼い頃の幻影旅団のメンバーとの集合写真』を取り出した。そこには6歳以下の頃のもっと幼い、ショートヘアーのステラが映っていた。

幻影旅団との写真……思わず息を飲んだ。ステラの過去を物語るその一枚に、胸の奥が少し痛む。彼女の小さな姿は、今のステラからは想像もできないほど硬い表情をしていた。



「お前……こんなに小さかったんだな」

「そりゃあ、10年くらい前のだし」



言葉が自然と出た。指先で写真の端にそっと触れる。ステラの過去と現在が交錯して、なぜか切なくなる。



「幻影旅団との写真を持ってるなんて……。俺の家族とはまた違う意味で、複雑な家族関係だったんだな……でも今は違う。お前にはゴンも、カイトも……俺もいるから」

「うん、生みの親は顔も知らないし幻影旅団が第一家族。ジンが第二の家族……かな。クロロとジンがお父さんのようなものなのかも?」



ステラの顔を見上げると、彼女の表情には懐かしさと寂しさが入り混じっていた。思わず手を伸ばして、ステラの手を握る。写真をジンからのものに戻し、座標に集中する。



「さあ、この座標を解読して、ジンを探そう。なんなら……ちゃんとした挨拶もできるかもしれないしな」



ステラもキルアの握られた手を自然と握り返し、指先をキルアの指に絡めた。



「うん、この座標……なんだろう」



その写真に写ってるのはステラとジン。ならばこの謎を解けるのはステラだけなのだろう。ステラは集中して写真を見つめる。



「そうか、これ、私が6歳の時に幻影旅団から引き受けた初めての単独任務中に負傷して倒れた場所なのかも……」



ステラの言葉に驚いて、思わず彼女の顔をじっと見つめた。幻影旅団から受けた任務で負傷した場所……そこでジンと出会ったのか。すべてが繋がっていく感覚に、なぜか胸が締め付けられる。



「そこでジンと出会ったのか……運命って、時々怖いくらい絡み合ってるよな」



ステラの指を優しく握り返しながら、写真をもう一度見る。彼女が歩んできた道のりを想像すると、どこか自分と重なる部分があった。暗殺者の家系に生まれた自分と、流星街から幻影旅団へ。どちらも普通じゃない環境だ。



「でも、お前がジンに出会わなかったら、俺たちも出会ってなかったかもしれない。だからさ……実は、ジンには感謝してるんだ」

「たしかに……ハンター試験に行ってなかったら、出会ってなかったんだよね」



少し照れくさくなって顔を横に向ける。でも、ちゃんと言わなきゃという気持ちが勝った。



「ジンに会ったら……ちゃんと挨拶するよ。お前の……彼氏として」

「彼氏として……? う、うん、ありがとう……」



キルアの彼氏として挨拶する、という言葉に照れてしまい少し頬を赤らめた。



「へっ、熱っぽく見つめちゃって。相当お熱な様子だな」

「キルアかっこいい!」



カイトとゴンがそう言ったその時、カイトの仲間が拾ったという謎の生物の足を調べた結果が出たという連絡がカイトに来て、「キメラアントの女王蟻に似ている」とのことだった。



「キメラアント……? って、なに?」



カイトの仲間からの連絡に、場の空気が一瞬で張り詰める。キメラアント……?聞いたことのない名前に、俺は眉をひそめた。ステラの疑問も当然だ。



「……聞いたことねえな。カイト、それは何なんだ?」



カイトは険しい表情で電話を切り、俺たちの方を向いた。その目には、今まで見せたことのない種類の警戒心が宿っている。さっきまでの、俺たちをからかうような余裕はどこにもなかった。



「グルメハンターの間で知られる、非常に凶暴で危険な昆虫だ。特殊な繁殖生態を持っていて……」



カイトは言葉を切り、地面に落ちていた木の枝で蟻のような生物の絵を描き始めた。その異様な姿に、背筋がぞくりとする。



「摂食交配……食べた生物の特徴を次世代に受け継がせる能力がある。もし女王蟻なら、人間を捕食すれば、人間サイズの蟻が生まれる可能性もある」

「蟻……? そんな……人間を捕食するの?」



それからカイトとゴンとキルアとステラはその研究所に入り、キメラアントの足を目で見て調査する。



「……この足のサイズからして、相当大きいよね。人間くらいのサイズの蟻だなんて見たことも聞いたこともない」



ステラは不安そうに表情を曇らせた。

目の前にある巨大な足に、俺は思わず息を飲んだ。ステラが不安そうな顔をするのも無理はない。こんなものが存在するなんて、信じがたい。でも、元暗殺者の勘が、これが現実で、とてつもなく危険なものだと告げていた。



「ああ……間違いなくデカい。それに、この足から微かに感じるオーラ……ただの生物じゃねえな」



俺はステラの肩を軽く引き寄せ、彼女を安心させるように隣に立った。不安にさせている原因から、少しでも守りたいと思った。ゴクリと唾を飲み込むカイトの横顔が、事態の深刻さを物語っている。



「もしカイトの言う通り、人間を食ってその特徴を受け継ぐなら……厄介なんてもんじゃない。知能まで持ったら最悪だ」



ジン探しどころじゃなくなるかもしれない。そんな嫌な予感が頭をよぎる。でも、今はこの現実から目をそらすわけにはいかない。



「大丈夫だ、ステラ。俺たちがいる。一人で抱え込むなよ」



ステラはキルアに身を寄せてこの温もりを手放したくないと思った。表情を引き締める。



「……うん、絶対キルアから離れたりしないからね。ヨークシンの時みたいに置いていったりしないでね。キルアに引っ付いていくから。私」



森の奥の方まで調査に向かうというジンについていこうとするゴンに目を向けてカイトは言った。



「半端な戦力は足手まといになる。その実力がなければついてくるな。ついてくるというのなら自分の身は自分で守れ。いいな」



カイトの言葉は厳しいが、その通りだ。半端な覚悟で首を突っ込めば死ぬだけ。ヨークシンの時……俺がステラを置いていった時のことを思い出して、胸がチクリと痛んだ。もう二度と、あんな思いはさせない。



「当たり前だろ。もうお前のこと、一人になんてするかよ」



俺はステラの頭に軽く手を置き、その髪をくしゃりと撫でた。不安そうな紫色の瞳が俺を見つめている。その視線を受け止めて、力強く頷いて見せる。



「それに、足手まといなんて言わせねえ。お前も、俺も、ゴンも、この一年でずっと強くなったんだからな」



ゴンの決意に満ちた横顔を見る。こいつは絶対について行くだろう。なら、俺のやることは一つだけだ。



「……行くぞ、ゴン。ジン探しは少し寄り道になるが、こんなやべえ奴らを放っておくわけにはいかねえだろ」



カイトを先頭に、ゴン、キルア、そしてステラは鬱蒼とした森を進む。NGLの異様な静寂が、ステラの肌を粟立たせた。ジンとの修行で得た力は本物か、不安が胸をよぎる。



「何か……いる」



カイトの鋭い一言に、全員が足を止めた。尋常ではない気の奔流が、すぐ近くから放たれている。その邪悪さに、ステラは息を呑んだ。



「来るぞ、構えろ!」



カイトが叫ぶと蟻の化け物が襲い掛かってきた。ステラはすぐにローラーシューズを起動し、風のバフをキルアとゴンとカイトにかけた。三人の身体能力が二倍に上がる。











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