それはほんの小さな違和感



確かに僕らの主は素っ気ないところがある。だがそういう性格ならそれで仕方ないのだし、これまでの付き合いで邪険にされた記憶もそうされたと言う者もいなかった。だがしかし、先程の主の初めて手にした刀、加州清光の言葉には頷けるものも感じる。
手入れ部屋ではこのひっかかりはなんだろうと思っていたが、今、隣で同じ食事当番をこなす仲間を見てすぐに分かった。傑作でありながら写しである事を気に病んでいる山姥切君だ。



「ねえ、山姥切君」

「なんだ」



普段の彼は今までの共にいた時間の甲斐もあってか、普通に話し相手をしてくれるし、まじめで優しい性根だ。



「君は彼女のことをどう思う?」

「……なんだと?」



しかし出会った頃の彼は、まあ今もなのだが、それ以上に出自を気にしていた。けれどその言葉に主が何か返したことはなかった気がする。
初めて相対した時は何も言わず一番隊に入れた。怪我をしているぐらいがお似合いだと手入れ部屋に入ることを拒んだ時も何も言わなかった。そこは出自など気にするなと声をかけるべきなのではと思ったこともなくはない。



「加州君の主がそっけないみたいな話を聞いて、確かにそれも一理あるかなと思って」

「俺に聞いたと言うことはあくまで主の俺に対しての態度を思い返してそう思ったに過ぎないんだろう」

「失礼だとは思うけれど、その通りだよ」

「なら俺が写しだからだろう。加州清光も身なりを気にしすぎる質だ。おかしなことではない」

「うーん」



確かに一癖二癖ある気がするけれど、それが面倒だから見て見ぬ振りをしているかというと違う気がする。じゃあ何だと問われたら、



「沸騰したぞ」

「あ、ああ。うん」



分からないんだし、気のせいかもしれないんだよねぇ。

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