召使いさん
基本的には部屋の外には出ない。必要な物資などは基本的に召使いさんが買ってきている。まあ、外はあちこち死体まみれで血みどろ……血の道が広がっているらしいし、私もそんなものは見たくはないけれど。ひどく退屈だ。
「ねー召使いさん。一緒に寝ようよ。どうせ寝付けないしさぁ」
「……危機感持とうか。ろくに意識してないだろうけど、ボクは男なんだからね」
退屈しのぎにと召使いさんに話しかけたらそんな答えが返ってきた。なんだろう、召使いさんがそういうこと言うと違和感。そういう性的なことと召使いさんって結びつかないんだよね。
「んー。あわよくばなんかのフラグが立たないかなーって」
「ボクとのフラグを立てるのは難しいよ? 同じくらい折るのも難しいけどね」
「一度立ったら折れないのか……」
「一度気に入ったら中々飽きないタイプなんだよね。だからかな、いつまでも未練がましく……。なんて、今は関係ない話だね」
召使いさんはふっと遠い目をした。なんだか寂しそうだ。振られたのか、死に別れたのか。よくわからないけど私はそんな空気をぶち壊すことにした。
「ストーカーでもしてたの?」
「……キミってちょこちょこ失礼な事言うよね。ストーカーはしてないよ」
なんでだろう。召使いさんにはズバズバ言ってしまう。なんとも思ってないからなのか、それとも気を許しているのか。どちらだろう。
「あー、コドモ達と仲良くなりたーい」
「難しいんじゃないかな。触らぬ神に祟りなしとも言うし、余計な関わりは持たない方がいいよ」
まあそうか。下手に関わったら死ぬかもしれないし。
「しょうがないから召使いさんと仲良く……は、いいや。ならなくて」
「……あのさ、ボクも傷付いたりとかするんだからね? 心の中では思ってるとかならまだしも、面と向かってこれは酷いよ」
召使いさんは真顔になった。召使いさんって傷付いたりもするんだ、と思ったがこれは言わなかった。
「なぜか召使いさんの傷ついてる顔好きなんだよね。なんでだろ?」
「それはキミがサドだからじゃないかな。キミって結構性格悪いよね」
「そういうお前は性格もタチも悪いし根性もひん曲がってるけどな!」
というより今のご時世、まともな奴なんていないんじゃないのか。未来機関とかいう組織はどうか知らないけど、コドモ達は死体を弄って遊んでるし。大人はほぼ殺されてるし。
「あはは、そうだよ。メイドさん、ボクの事よく分かってきたね。ま、こうやって会話してれば嫌でもそうなるか」
「そう返されると理解してしまってることが嫌になってきた……もう一度記憶喪失になれないかな」
「うわ酷い。いつの間にこんなに嫌われたのか見当がつかないよ。少しは歩み寄れたかと思ってたんだけど、勘違いだったみたいだね」
召使いさんはそう言ってため息をついた。
「自分でもわからないけどなんかこう、条件反射で。記憶なくす前になんかした?」
「ああ、その時なら嫌われるような心当たりはあるかな。殺意抱かれた事もあったし。でも、ボクは結構なじりあいも楽しかったよ」
「殺意を抱くほどの何をしたんだ」
本当に、どんな関係だったんだろう。少なくとも仲間ではないのは確かか。敵、なのかもしれないし。
「……多かったのは暴言かな? 殺意抱かれるのはしょっちゅうだったから、いつの事か分からないんだ」
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