綺麗なことは言えない



思えば孤独に生きてきた。
両親とはほぼ会話もなかったし、保育園でもいつも一人で絵本読んでるか絵を描いてるか。誰とも関わろうとしなかったのは私。関わり方がわからなかったから。
両親が離婚して、母親に捨てられて、行き先を失った時。言われるがまま審神者という仕事を受けた。



「加州清光」



一番最初の刀の名前を呼びかけると、よろしくねと返ってきた。赤を基調としたお洒落な服装と、どちらかというとかっこよく整った顔立ち。表情は可愛らしい感じだ。可愛く着飾って、なんて言われた瞬間思った。私には無理だ。センスなんてないし、オシャレがわからないから。

それから顕現された二刀も、出自や前の主など過去に縛られ問題を抱えていた。それは生まれついたものと言っても過言ではなく、私が否定してもきっと届かない。加州に着飾らなくてもいいと告げても、山姥切に写しなど関係ないと諭しても、小夜に復讐ではなく幸せを与えようとしても、きっと否定されるだけ。私が何を言ったってきっと届かないのではないか、ううん、余計なことを言って拒否されるのが怖いだけ。私にはかける言葉が見当たらないし、適切な言葉を見つけられないのなら何も言わない方がいいのかもしれないと思った。

他の3刀はどちらかというと捻くれた部分はなく、しっかりしていた。少しだけ安心したけれど、元々人と接することが苦手な私は世間話なんかして一緒に過ごすというのも体力がいる仕事になってしまって、薬研や燭台切が世話をしに話しかけてくれるのに甘んじて自分から近寄らなくなった。鶴丸に至っては、以前夜更けに驚かされたのが幽霊嫌いの私には凄く怖くて、少し怒ったら以降あまり肩をつつかれることも減ったように思う。

長々と語ったが、要は私は自分から踏み込む勇気のないコミュ障なのだ。今は審神者になったばかりだからと6人で過ごしているが、仲間が増えて彼らの兄弟分や過去を共有できる刀剣が増えれば更に一人ぼっちになっていくのだろう。
加州が喜ぶようなお洒落をさせてあげられたら、山姥切や小夜の心を解く器量があれば、燭台切や薬研と他愛のない話で盛り上がれたら、鶴丸と賑やかに笑い転げていられたら。そんな思いを振り払って、今日もまた仕事があるからと自室にこもるのだ。なんて不甲斐ない。

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