鬼灯の朝は早い。
それは、朝食の用意のため。
作るのは三人分。
自分と妹、そして母親の分。
母はしょっぱい卵焼きが好きだと聞いた。
妹は甘いパンが好きだと聞いた。
母は朝からでもから揚げを食べると聞いた。
母は……母は…………母は…………
そう、一緒に食べたい。
前みたいに、叱ってくれてもいい。箸の持ち方を怒られるのでもいい。
見てほしい。
みてほしい……
みて……ほしい……
でも、そんなことお願いできるはずないから……
「……いただきます……」
ぱちんと両手を合わせてから自分で用意した朝食を食べ始める。
だから、ご飯の時間は長く取るようにした。
ゆっくりよく噛んで食べるようになった。それは健康的な面からいってもいいこと。
だから、ゆっくりと……ゆっくりと、母様の朝食時間になるまで待ちながら食べる。
妹の朝仕度に時間がかかっているとはいえど……こんなに時間かかるものだっただろうか?
もしかして…………わざと……
いや、そんなことない。あるはずがない。母様は私をきちんと教育してくれた。鬼の子だって、うん、そうだよ。ほら、箸の握りだって小さいころから教えられた。
たしか、今の初音と同じぐらいだから、きっとあの子も厳しく教えられてるころだろう。
「あ…………ごちそうさま……でした」
食べ終わってしまった。しょっぱい卵焼き、飽きたな。
私は、甘い卵焼きが、好き。
でも、母様が食べるかもしれないから……「おいしいよ」ってほめてもらいたいから……
だがら、明日もしょっぱい卵焼きを作るんだ。
この作戦が成功したことは、いままで一度も
ない
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とある弓士のお話