#02
御幸一也という男。


一年の時から期待されている捕手だった。クリス先輩が怪我のため一軍を離れ、代わりに正捕手に選ばれたのは御幸だった。
一年から一軍入りされた彼を敵対視する奴も中にはいた。だが、そういう奴に限って野球が下手くそなのだ。

御幸一也という男。

友達がいないくせにいつも飄々とスコアブックを眺めている。初日の自己紹介からか、クラスメートは御幸に近づく奴はいない。しかし、御幸を知らない奴はそのルックスに惚れ、告白してくる女もいる。だが、決まってこう断られるのだ。

「ごめん、弟の方が好き」

この断り方がまずかった。御幸一也がブラコンだということが、学校全体に広まってしまったのだから。伊佐敷先輩や、亮さんは面白いものを見つけたというように笑っていた。その他野球部員も、御幸一也がブラコンだってよ、と陰でヒソヒソ話す。それを知ってか知らずか彼は、はっはっはと笑っているばかりだった。


「お前、少しは自重しろよ」
実際問題、御幸がどれほどまでのブラコンだかはわからない。だが、それが危険なまでに達するであろうなら、俺は唯一の友人として、この変態を止めなければならないのかもしれない。
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