#05
The Past最初からこんなにブラコンだったわけじゃない。
弟が生まれた時、そりゃ可愛いと思ったし、自分が兄貴になることが何より嬉しかった。弟が生まれてすぐに母は死んだが、父が、母さんからの最後の贈り物だなんて言うもんだから、1歳しか変わらないが俺がちゃんと弟の面倒を見てやろうって心に誓った。
中学時代、俺のせいで名前が傷を作って帰るたび、胸が痛くなった。何度謝っても、兄貴はまっすぐプレーだけしてろといって、傷の手当てすらさせてくれない。ある日、我慢の限界だった俺は名前を羽交い締めにし、服を無理やり脱がせた。身体中にある打撲、痣、発赤。それ以上に目を奪われたのは陶器の様に白い肌だった。
じっと見つめていると、名前が恥ずかしげに俯く。その仕草でさえ、可愛いと思ってしまったのだ。はっきり言えば、弟の白い肌に印の様に付けられた傷に欲情してしまったのだった。
「悪い……」
居心地が悪くなって、名前のTシャツを渡す。彼はそれを受け取らず、黙って座り込んだ。
「傷、手当てしたいんだろ」
腹部にも背中にも作られた傷はまるで花が咲く様に綺麗だった。これ以上見ていたら、弟相手にやべーぞ俺と思い、Tシャツを名前の体に掛けた。
「悪い……。そこまで酷いと思わなくて」
「兄貴が罪悪感、感じることねーだろ」
「でも、」
「いいから、背中だけでも軟膏塗ってくんない?」
俺の言葉を一喝すると、救急セットの中から軟膏を取り出し手渡した。それから俺に向かって背中を向け、あまり触んなよ、いてーからとだけ言った。
軟膏を受け取った俺は少量を手に取り、傷に手を這わす。時折、軟膏が冷たいのかピクリと肩が跳ねる。正直、それすらやばいと思えた。自分がホモだったとかそんなことより、目の前の美しい弟に欲情しているのだから。
戻る