#09
最初からこうしていればよかった。そう思うほどに弟は従順だった。今だって、実の兄にキスされてるっていうのにまともな抵抗すらしない。運動部で毎日鍛えている俺に、力でかなわないのかもしれないが。
「ふっ……ふぁ、あ、にき」
名前の瞳に涙がにじむ。そんなことしたって、さらに欲情するだけなのに。
「ぁ……ぅん、ふ……ぁ、や」
やめて欲しい。瞳でそう訴えているのだろうが、今更やめられない。俺はもう止まれないんだ。
「は、名前、かわい」
ちょっと唇を解放してやれば、歯を食いしばる。その表情さえ艶やかだった。
また口付けを再開すれば、息が続かなかったのか密かに口を開いた。その隙を狙って舌をねじ込んでやれば、名前の暖かな舌に絡みついた。
「や、やめ……!あに、き!」
流石に舌まで入れば、抵抗が強くなる。だが、俺にはかなわない。
「あ、んぁ……ふあ、やっ」
名前が抵抗をやめるまで、口腔を貪ってやれば、力が入らなくなったのか顔が弛んだ。
また唇を離し、名前を見れば涙と唾液で汚れたぐちゃぐちゃな顔をしていた。
名前の頬を両手で包み、俺と目線を合わせると潤んだ視線とかち合った。
「はっ、んとにかわいいな」
「あにき」
「一也って呼べよ、名前」
額と額をコツンと合わせれば、赤面した名前は目を逸らした。
「なぁ、名前」
自分でもよくこんな色っぽい声が出るもんだと思った。それでも名前は俺を見ないから、今度は耳に舌を這わせた。
「ひゃ、ぁああ!」
弟とは思えない高い嬌声。さらに首筋も舐め上げれば、我慢できなくなったのか小さく「かずや」と呟いた。
「やればできんじゃん」
ニヤ、と厭らしく笑えばどんどん赤面する名前。
今、ずっと夢に見ていたことが、現実で起こっているのだ。
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