#11
SIDE.M.倉持洋一という男は、元ヤンだが情に熱い男だった。高一の時から、お互いクラスでは浮いていて『野球』という繋がりから、よく共に行動する。ただそれだけだが、お互いのプレーを認め合い切磋琢磨する仲だった。
倉持と会話をすることが多いため、必然と倉持に弟の話ばかりしていた。1歳しか変わらないがとにかく可愛いんだ、そんな話ばかりしていると倉持は羨ましそうに、でも時に厳しい顔をする。
伊達に正捕手を務めているわけじゃない。倉持がそんな顔をする時、何を考えているかなんて、手を取る様にわかるのだ。
『御幸が一線を越える前に』
俺は重度のブラコンだが、倉持は俺が『まだ』弟に家族以上の思いを抱いていないと思っているだろう。
ほとほと自分の性格の悪さには笑えてくる。
倉持は、俺が禁句を犯す前に止めてくれようとしているのに、俺はそれを知りながら既に禁句を犯しているのだから。
倉持洋一という男は、それを知らずに損な立ち回りを続けるのだ。
fin.
2018.10.31 anon.
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